顧客の共感を引き出せたら、次はヒアリングだ。ここで注意したいのは「何か困ったことはありませんか」という質問である。基本的なニーズが満たされている現状では、課題をストレートに尋ねても、「とくにないよ」と素気なく言われるだけだ。それよりも顧客に現状を整理してもらい、普段意識していなかった課題を浮かび上がらせるという視点でヒアリングする必要がある。

横田雅俊カーナープロダクト代表取締役。外資系ISO審査機関にて営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」記録を更新し、世界2300人のトップセールスに。営業に特化したコンサルティングファーム、カーナープロダクト設立。著書に『営業は感情移入』。

まず聞くべきなのは、現在利用している商品を選択した背景や経緯だ。顧客からいきなり課題を引き出そうとすると、唐突に自己分析をさせることになる。しかし、いま利用している商品を購入した経緯なら、過去の事実であるため顧客も話しやすい。さかのぼって話を聞くことで当初抱えていた課題や選定理由が明らかになり、そこから現状の課題へと話を展開しやすくなるのだ。

(構成=村上 敬 撮影=鷹尾 茂)