自社商品・サービスの特徴を懸命にアピールしたところ、顧客は好反応。「いいね。検討する」という言葉を信じて待ったが、半年後も検討中のままだった……。

横田雅俊カーナープロダクト代表取締役。外資系ISO審査機関にて営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」記録を更新し、世界2300人のトップセールスに。営業に特化したコンサルティングファーム、カーナープロダクト設立。著書に『営業は感情移入』。

最近、こうした肩透かしが増えたと実感している営業担当者は多いはずだ。これまでなら成約につながった営業手法が、なぜ通用しなくなってきたのか。その原因は、ほとんどすべての分野において日本の市場が成熟化したことにあると私は考えている。

成熟市場には2つの特徴がある。まず、顧客の基本的なニーズは既存の商品ですでに満たされている。また成熟市場には競合が必ず存在する。それゆえ営業担当者がいくら商品のよさを伝えても、顧客は「いま焦って買い替えなくていい」という結論に至ってしまう。

顧客も営業担当者の提案に魅力を感じていないわけではない。ただ、いま買う緊急性や目の前の営業担当者から買う必然性が弱く、それが購入の中止・延期を引き起こすのだ。

これまでどの企業でも、自社の営業担当者に対して、自社商品の特徴をうまく伝えるためのトレーニングを施してきた。しかし、いま営業担当者に求められるのは、顧客に商品のよさを訴求することではなく、商品切り替えの動機付けをすることである。営業の各プロセスでどのようなことを心がければ競合商品からスイッチさせられるのか。解説していこう。