階層による対立が深い社会でネット世論は歪曲される
もちろん、この戦略は、若い女性を敵に回すという大きな副作用も伴った。選挙直後、民主党に12万人程度の新規党員が入党し、その大部分が20代~30代の女性だったというニュースもあったほどだ。
韓国では進歩と保守、若い世代と老人世代、男と女など、各階層が激しく対立している。そんな社会であればあるほど、ネット世論は歪曲されやすく、政治家たちがそれを「現実世界の声」として鵜吞みにした瞬間、社会はさらに分断することになる。
仲間と敵を分けるコミュニケーションは深い分断を生む
10年ごとに進歩と保守が交代で政権運営をするという「政権交代10年周期説」のある韓国で、任期末まで40%を超える支持率を誇っていた文政権は、5年ぶりに保守に政権を明け渡した。
熱烈なファンクラブがあるほど大衆的な人気の高かった文在寅は、任期中、自らの支援者たちとばかりコミュニケーションをとり、政権に批判的な意見を持つメディアや国民は徹底的に敵とみなした。結果、社会は克服できないほどの深い分断に陥った。新しく出発した尹錫悦政権は国民統合を訴えているが、果たしてどうだろうか。