若返りの手段を「反則技」と考えない

その他にも、「牡蠣」や「ニンニク」を食べることによって「亜鉛」を摂ることも効果があります。

ただし、食事からのアプローチには時間がかかります。

肉や牡蠣が苦手な人もいるかもしれません。

最も手っ取り早い方法は、テストステロンを注射したり塗ったりして体内に取り入れる「男性ホルモン補充療法」です。

テストステロンを2週間おきに筋肉注射することで、筋肉量や筋力だけでなく、気分や性欲の改善を図ることができます。私のクリニックでは、3カ月有効なデポ剤というのを使用しています。

日本人には、この「男性ホルモン補充療法」を、ある種の「反則技」のように思っている人がいて、かなりの人が抵抗を感じています。

「インスリン」というホルモンが減ってくると血糖値が高くなりますから、糖尿病が心配な人は、何の抵抗もなくインスリンの注射を受けます。

インスリンには抵抗がないのに、男性ホルモンには拒否反応を示すのです。

確かに、テストステロンは筋肉増強剤の一種と考えられていますから、スポーツ選手であれば「ドーピング」になりますが、私たちがテストステロンを注射しても、ドーピングを問われることなどありません。

男性ホルモンを注射すれば、筋肉が付いて、足腰が弱らなくて済みます。

「男性ホルモン補充療法」を色メガネでみるのではなく、スポーツジムに通うのと同じような感覚で、選択肢のひとつと考える必要があります。

ここで「男性ホルモン補充療法」の現状について、お伝えしておきます。

アメリカでは、男性ホルモンの補充療法を受けている人が、約800万人いるといわれています。

日本の場合は、はっきりとしたデータはわかりませんが、泌尿器科でLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と診断されて、保険治療として受けている人が1~2万人いると考えられます。

しかし、日本では「元気を保つ」ために、自分の判断で「男性ホルモン補充療法」を受けている人はあまりいないのが現状です。

日本の医療というのは、検査データで何か異常があれば、それを「元に戻す」ことばかりに注力して、「もっと元気になる」という発想はできないのです。