現社民党の凋落原因もここにあった

1994年には、非自民の連立政権のもとで、当時の細川護熙ほそかわもりひろ首相が、7%の国民福祉税構想(実態は消費税の増税)を打ち出したが、すぐに頓挫した。

しかし、1995年に成立した、自民党と社会党および新党さきがけによる、いわゆる「自社さ政権」のもと、社会党の村山富市首相は、これまでの「消費税絶対反対」という方針をくつがえし、消費税率5%アップを決めてしまった。

これがきっかけとなって、自社政権は倒れ、現在に至るまでの社会党(1996年からは社会民主党)の凋落をもたらした。

その後、自民党単独政権となった橋本龍太郎内閣のもとで、1997年4月から消費税率が5%に引き上げられたが、アジア金融危機とも重なり、深刻な消費不況を引き起こし、橋本内閣も総辞職に追い込まれた。

自民党政権のもと、消費税はタブー視され、引き上げの議論は封印された。

議会と曇り空
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公約を覆し、増税に踏み切った民主党政権も瓦解…

2009年に成立した民主党政権でも、鳩山由紀夫首相は「消費税率は4年間引き上げない」とするマニュフェストを掲げていた。しかし、鳩山内閣退陣後の菅直人内閣は、突如、消費税率10%への引き上げを表明、2010年の参議院選挙で惨敗した。

その後を継いだ野田佳彦内閣は、2012年に、社会保障・税一体改革として、消費税率10%への段階的な引き上げを、当時野党であった自民党・公明党と結託し三党合意で成立させた。

消費税率を上げないとの公約を覆した民主党政権は、他の失策も重なり、国民の信頼を失い、2012年12月に瓦解がかい、自民党が政権を奪還、公明党との連立で安倍晋三政権が成立した。

まさに、消費税の扱いは政権の命運を左右する「鬼門」といえた。その後、民主党は、かつての社会党と同様、党名の変更(民進党)から分裂(立憲民主党と国民民主党)へと凋落の道をたどり、現在の「安倍一強」といわれる長期政権の出現を許すことになった(※)

(※)編集部註:出版当時(2020年)