ブルームバーグは6月、ニューヨークの家賃の中央値が2750ドル(約37万2000円)に達したと報じた。

家賃を手取りの3割程度に抑えるとの前提に立った場合、この価格に耐えることができるのは、フルタイムで働くニューヨーカーのなかでも23%しかいない計算だという。マンハッタンでは上昇率がことさら深刻であり、家賃の中央値は前年比25%増の4000ドル(約54万1000円)という目を見張る数字となった。

ガソリン価格、食料品、そして住居と、身の回りの価格が上がり続け人々の生活を圧迫している。こうしたインフレは、日本の生活と決して無関係ではない。アメリカやイギリスなどで起きているいわゆる「悪いインフレ」により、世界的なリセッション(景気後退)が大きな懸念事項となってきた。

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アナリストの「悲観率」はリーマンショック以上に

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙はアメリカのエコノミストたちを対象に、今後12カ月間で景気後退に至る可能性があるか否かの見解を、継続的にアンケート調査している。

12カ月以内の後退を見込むアナリストの割合は今年1月時点で18%だったが、4月に入ると28%に上昇し、同紙が6月19日の記事で紹介した最新の数字では44%にまで上昇した。アナリストの実に半数弱が、今後1年以内の景気後退を見込んでいることになる。

2008年のリーマンショック時は、発生の9カ月前に38%を記録している。現在の数字はこれよりも悲観的なものだ。同紙によると、2005年の調査開始以来、44%ほどの高水準が記録されながらも実際の景気後退に至らなかったという例は、ほぼないという。

国内でも肌で感じるようになってきたインフレだが、その先に待ち受ける世界的な景気後退局面は回避可能なのだろうか。今後の景気動向が注視される。

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