賃金も上昇しているが、物価高に追いつかない

このところ物価上昇の話題が耳目を集めている。主要電力各社が値上げを発表した電気代に加え、天井知らずのガソリン価格や、食品の価格を保ちながらも内容量を減らす「サイレント値上げ」など、各方面からの値上げが家計を直撃している。

長いデフレにあった日本でも資源高を背景に価格高騰が鮮明になってきた。だが、世界では日本以上に状況は深刻だ。アメリカではより深刻なインフレが家計を襲っている。米消費者物価指数は5月までの1年間で8.6%上昇し、40年来の伸びとなった。賃金も上昇してはいるが、物価高に追いついていない状況だ。

シアトルの高速道路のひどい渋滞
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燃料や食品など、ほとんど切り詰めようのない生活必需品が数多く値上がりしており、卵は1年で30%以上も値上がりしている。自分の食事を削って子に与えているという親も少なくない。車社会のアメリカにおいては、ガソリン高騰も深刻な問題だ。低所得者が通勤すらためらう一方、全米のガソリンスタンドで燃料を抜き取る窃盗団が暗躍しはじめた。

急激な物価上昇で消費者が財布のひもを固くすれば、景気の下振れも懸念される。今後12カ月以内の景気後退を見込む米アナリストは半数弱に達し、リーマンショック直前を上回る状況となった。

1000万回も再生された「馬に乗り換える動画」

最近、米国ではTikTokである動画に人気が集まった。ガソリンが高いのでガールフレンドの車を売り、そして馬に乗り替えた――という荒唐無稽な内容だ。

動画は人気TikTokerのジャスティス・アレクサンダー氏(@lgndfrvr)が投稿したもので、現在までに110万回の「いいね」が寄せられている。米ニューヨーク・タイムズ紙は、1000万再生を記録した動画として取り上げた。