国連の基礎にある「連合国」対「枢軸国」の枠組み

ここに言う「連合国共同宣言」とはその名のとおり、「枢軸国」たる日本、ドイツ、イタリアなど8カ国と戦争状態にあった米、英、ソ連を始めとする「連合国」26カ国によって採択されたものであって、①「敵国」(=枢軸国)に対する「完全な勝利」を目指し、②「三国同盟と戦うためすべての軍事的・経済的資源を動員すること」及び③「敵国との間に単独講和を結ばないこと」を誓うことを内容としている。

国際連合において、「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任」(憲章第24条)は安全保障理事会が負うこととされ、そこでは大戦中に連合国を主導した英米ソなど主要国が拒否権を有し、これら主要国の一致がなければ実質的に機能しない仕組みとされている。これは要するに、国連が「日本やドイツ」対「英米ソなど連合国」という大戦中の対立を基礎に出来上がっているからである。

世界構造の変化を国連改革に結び付けよ

あれから70年以上が経ち、今日の国際関係は当時とは構造的に異なるものとなった。いかなる国際的な枠組みもそのときどきの国際社会における力関係と無関係にはあり得ず、長い時間をかけて少しずつではあるが、現実の力関係に沿った形へと変容していく。国際連合、特に安保理についても、長い歴史の中では時代に合ったものへと変容していかざるを得ないであろう。

今日、世界の構造は間違いなく変化しつつあり、今や世界は5大国によって仕切られるような構造になっていない。今回のロシアによるウクライナ侵攻は、このような変化をさらに推し進めることになると思われる。そうであれば、それに伴い、国際機関の在り方も変化せざるを得ないであろう。

我々にはこの変化を紛争の公正かつ効果的な解決のための仕組みに結び付けていく努力が求められている。理想どおりにいかないからといって国連不要論に立つことは間違っている。