ほめるのは段階を踏んでもOK

その子のそのままの部分、その子まるごとをほめる。確かにそんなほめ方が、子どもの自己肯定感を育てます。ですが一方で、その前段階として、私は、まずは「条件つきでほめること」もありだとも思っています。

なぜならそれは、ハードルが低いからです。うまくいったことについて、どんどんほめてあげましょう。

いきなり「ダメなところも受け入れる」と言われてもむずかしいもの。現に、私自身も、まずは条件つきでもいいからほめる、というやり方で、大人になってから自分の自己肯定感をはぐくんだひとりです。

だから、ママたちにお伝えするのは、子どもはもちろん、自分のことも、「まずはできることがある自分をほめよう」とか「いいことがあったときは気分が上がるよね」と、条件つきでもいいからほめてください、ということ。子どもの自己肯定感を育てたいというなら、自分を肯定するってどういうことか、親自身も知ることが大切だからです。

はじめは、条件つきでもいい。そこから徐々に「無条件」になっていく。だから、今「うちの子は、ほめられたときにだけ、自己肯定感が高まっている気がする」と思っても、安心してくださいね。

ただひとつ、注意点があります。それはどんなふうにほめるか、そのほめ方です。これは後ほど説明しますね。

いつでも、どこでも、一銭もかけずに取り組めること

「民主型」の親が最も良い親のタイプといわれていますが、はじめから民主型という方は多くはないでしょう。ほとんどの親は、子どもが生まれてから、その子の幸せを願い、試行錯誤を経て、「民主型の親になっていく」すべを身につけていくものです。だから、今自分は「服従型(親主導で厳しく徹底管理する)に近いな」と思ったとしても、安心してくださいね。ここから始めればいいのです。

民主型の親でありたいと思えば、日々、具体的な方法に取り組みましょう。服従型の要素を見つけたら、それを民主型の親のやり方にひとつずつ変えていく。それは、いつでも、どこでも、一銭もかけずに今からすぐに取り組めることです。

学校に行きたくない男児を励ます母親
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毎日ひとつずつ、3週間実践してみると、結果は見違えます。考えながらもできるようになるには21日かかると言われますが、3週間続いたことは、自分にとってそれが苦ではないということ。習慣になりつつあるということですから、きっとその後も続けられます。3カ月続けば、それは立派な習慣です。

子どもが、自分らしさを発揮し、幸せな人生を切り開くために、親としてどんな姿を見せていくのか。それを日々考えながら、自分に、そしてお子さんに、毎日向き合ってくださいね。子どもに「そうあってほしい」と思う理想を、まず自分でやってみてください。ほめられたら「ありがとう」と感謝し、相手の良いところも見つけてあげましょう。