理想的な食生活とはどんなものか。サイエンスライターの佐藤成美さんは「よく研究されているのは『地中海食』だが、最近になって『日本食』も再評価されている。北海道大学などの研究では『ご飯とみそ汁を中心に魚や漬物、緑茶などを組み合わせる日本食パターンが認知症リスクを下げる可能性がある』とされている」という――。(第2回/全3回)
※本稿は、佐藤成美『本当に役立つ栄養学 肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』(ブルーバックス)の一部を再編集したものです。
サカナを食べるとアタマは良くなるのか
かつて、スーパーマーケットの魚コーナーでは、「サカナを食べると(略)アタマが良くなる」という歌がよく流れていました。
この歌は『おさかな天国』といい、全国漁業協同組合連合会中央シーフードサービスセンターのキャンペーンソングとして1991年につくられたもの。31種類もの魚の名前が入っていて、魚料理の効用をアピールしています。この歌の効果もあってか、「魚は栄養分が豊富で、ヘルシーで脳にも良い食べもの」というイメージがあります。
サバ缶ブームも起こり、スーパーマーケットの棚からサバ缶が消えたこともありました。「ダイエットに良い」とテレビ番組で取り上げられたのが始まりですが、ブームは一過性で終わらず、続いているようです。栄養価が高い魚ということから、サバ缶は健康志向の人々の人気も集めました。
中でも、豊富に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などは「オメガ3(n3系)脂肪酸」と呼ばれ、知られています。
実は動脈硬化予防に効果を発揮するばかりでなく、脳を活性化させ、集中力を高める効果もあるとされます。「サカナを食べるとアタマが良くなる」の所以です。認知症の予防に良いとか、メンタルヘルスを改善する効果があるともいわれ、サバをはじめとして、n3系脂肪酸が豊富なカツオ、イワシ、サンマなどのいわゆる青魚が「ブレインフード」として注目されています。