世界最高水準の空気清浄機の性能

――リトリさんはスウェーデンの大手家電メーカーから独立して1996年に空気清浄機の専業メーカー「ブルーエア」を創業したそうですね。もともとスウェーデンは空気のきれいな国というイメージがありますが、なぜ空気清浄機に情熱を傾けるのですか?
ブルーエア社CEO ベント・リトリ Bengt Rittri●1960年、スウェーデン・マルメ生まれ。米シティ大学シアトル、スイスチューリヒ大学で経営学、心理学、文学を学ぶ。スウェーデン家電メーカーのエレクトロラックス入社。資金管理、空気清浄部署にて部長を歴任。96年ブルーエア社を設立。趣味は写真、カヤック、詩を読むこと。

「スウェーデンもストックホルムのような都会では空気が汚いのですよ(笑)。私たちは夏のバカンスのときに森と湖に囲まれた別荘地に出かけます。そこは、おっしゃるとおりきれいな空気に恵まれています。しかし、バカンスを終えて街に帰ってくると、大気汚染が気になるのです。ちょうど2人目の子供が生まれたころで、この子は都会でもきれいな空気の中で育てたいと強く感じました。それが会社を興した直接のきっかけです。人は誰でもきれいな空気を吸う権利があると思うのです」

――空気清浄機はすでに世界中のメーカーが販売していましたが、それでは不足だったのですか?

「はい。それまでの空気清浄機は、まるでおもちゃみたいでした。集塵力や耐久性が低く、運転音もうるさい。ですから十分な性能を持つ、世界最高の空気清浄機をつくりたいと考えたのです。しかし、そうはいっても洗濯機や冷蔵庫と比べて空気清浄機の市場は小さいので、当時つとめていた大手メーカーでは本格的に開発に乗り出すことができなかったのです。そこで私自身が会社を興し、最高の技術者たちを集めて、世界一美しく、清浄能力を徹底的に追求した製品づくりを目指したのです。べつに金儲けをしたかったわけではありません(笑)」