日常の行動を少しだけ広げてみる

現状維持バイアスを外すトレーニングとして有効なのが、「自分で無意識に枠を作ってしまっている日常の行動範囲をちょっぴり広げる」というものです。

最初は、本当にとるに足らない日常のひとコマ、そして自分が無理なく背負えるリスクの範囲内でよいので、まずはいつもと違う体験を積み重ねていくといいでしょう。

次のような形で、ブレインロックの枠の外へ小さく一歩足を踏み出してみてください。

・いつもランチで行くお店を変えて、新しいお店を開拓してみる
・前から興味はあったけれど話したことのない社内の人に話しかけてみる
・着たことのない色の服を買ってみる
・行ってみたかった街へ出かける
・好きな作家や文化人の講演会や交流会、イベントに参加してみる
・いつもとは違うルートで通勤してみる
・ピアノや書道など、子どものころにやってみたかった習いごとを始めてみる

積極的にこうした機会を作ること以外に、生活の中で毎回同じものを選んでいるパターンを変えることもいい方法です。「いつも使っているシャンプーを、違うブランドのものに変えてみる」といった小さな変化でかまいません。

迷ったときは「いちばん新しいもの」を選ぶ

何を選ぶにしても、迷ったときにはいちばん新しいものを取り入れて、古いものをやめるようにすれば大きな失敗はありません。

「最も新しいもの」は、これまで足りなかったことを足し、いらなかったことを削って、最新の技術が使われていることが多いからです。

私は、こうした小さく日常を変化させていくことを「0.2%の改善」と呼んでいます。

どんなに微細な変化でも、毎日コツコツ続けていれば徐々に遠くに移動していて、気が付いたときにはブレインロックの枠の外にいる……ということが起きます。もし失敗や不都合があった場合でも、0.2%であれば、元に戻してもさほどの損失にはなりません。

そして、一度外に出た経験があれば、そうした行動が当たり前(デフォルト)になります。その当たり前の範囲を広げることが重要なのです。

仕事環境も毎日「0.2%」改善する

最近の私自身の「0.2%の改善」は、自宅のパソコンスタンドを1台から2台に変えたことです。

ノートパソコンをスタンドに立てて作業をしていたのですが、どうもグラグラするのが気になっていました。ちょうどそのときに、友人が小さなスマホスタンドを2台合わせてタブレットスタンドにしているのを発見。

たまたまパソコンスタンドを別に1台持っていたため、左右2カ所で支えるようにパソコンを設置したところ、ピタリと安定するようになりました。

ほかにも、パソコンやスマホのスクリーンをナイトモードに変えて目の負担を減らしたり、フットスイッチを導入して音声入力の切り替えをスムーズにしたり、毎日のようにパソコン周辺の環境改善を実践しています。