2025年の新築分譲マンション価格は高くなる運命

新築分譲マンションの供給が減少すると、中古マンションの需給バランスはひっ迫し、その取り合いで価格が高騰することは容易に予想できる。こうなると、新築価格の稀少性はさらに上がり、もっと高嶺の花になる。

そんなシナリオを設定しなくても、今後の分譲価格は4年程度先まで値上がりする可能性が非常に高い。なぜなら、値上がりしているのは単純に金融緩和しており、貸出先が不動産になっているからだ。この金融緩和は2023年の黒田日銀総裁の任期まで続く可能性が高い。2023年時点で仕入れた用地はその2年後に新築分譲される。つまり2025年の新築分譲マンション価格は高くなることが運命づけられているのだ。

日銀総裁が代わっても金融緩和は異次元に緩和してしまっているので、手仕舞いするのには少なからず年月がかかる。だから4年以上先までマンション価格は上がるのだ。

「持ち家VS賃貸論争」の結果は明らか

その値上がり幅は2割とした場合の、賃貸と持ち家の損得を計算してみよう。

家賃と住宅ローンはほぼ同額になるので、持ち家がキャピタルゲインをすると持ち家が有利になる。なぜなら、価格が上昇していて売ると値上がり分が戻ってくるからだ。

ミニチュアの木造家屋と赤い上昇の矢印
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
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では計算をしてみよう。分譲価格に対する年間家賃を3.5%とする。分かりやすい数字にするために分譲価格を1億円としよう。

賃貸は10年間で35%、3500万円の家賃の支払いとなる。

分譲は10年間で同じ35%、3500万円の住宅ローンの支払いとなる。住宅ローン控除の減税で金利は全額相殺されるので、3500万円はすべて元本返済に相当する。この間、物件価格は1.2倍に上がるので、2000万円の含み益が発生している。売買の仲介手数料やローンの事務手数料で8%、800万円かかったとして、売却時に戻ってくるお金は2000+3500−800=4700万円になる。トータルの収支は元本が全額返ってきているので、2000−800=1200万円のキャッシュの増加になる。賃貸は3500万円のキャッシュアウトに対して、持ち家は1200万円のキャッシュインになり、両者の差は4700万円に及ぶ。

10年間の持ち家と賃貸の収支を見たように、今後4年は分譲が値上がりするなら、収支は賃貸よりも有利になる可能性が高い。というか、もし価格が下がり始めたら、そのタイミングで売ればこの自宅の住居費削減(それ以上に儲ける)ゲームに終止符を打てばいい。このシナリオの中では、ノーリスクで住居費を大幅に減らすことができる。