どうしても嫌な相手には「三猿」対応
日光東照宮の神厩舎に「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿が彫られていることは、皆さんご存じでしょう。人間関係のストレスを減らす上で、この三猿の姿には現代人が大いに学ぶべきところがあります。
どうしても苦手な人や相性が悪い人を前にしたときには、「見ざる・聞かざる・言わざる」対応に徹することをおすすめします。
すなわち、余計なものは見ない、余計なものは聞かない、余計なことは言わない。必要最低限のやり取り以外では、この三猿のスタンスを徹底していくこと。これを意識するだけで自律神経は圧倒的に整い、ストレスの半分以上が軽減されます。
人間関係のストレスは相手があってのことです。しかし、他人をコントロールする術はありません。それならば、自分がアクションを変えることによって、自分の身を守るしかありません。
嫌いな相手に何を言われようが、何が起きていようが、余計なことは見ないし聞かない。もちろん、何も言わないし反応しない。
そうすることによって、自分と相手との間にはっきりした線引きができ、心の平穏を守ることができます。
その相手はコンディションを崩してまで付き合う価値があるか
「そうはいっても仕事上の取引を考えると付き合いを切ることはできない」という相手もいるでしょう。ビジネスには確かに人脈が重要です。また、親族との付き合いなどのように簡単には切れない関係性は確かに存在します。
しかし、「だから仕方ないのだ」と思考停止してしまっては、いつまで経ってもストレスは減りません。
そんなときは、ぜひとも次のように自問してみてください。
「その相手はあなたがコンディションを崩してまで付き合う価値のある、本当に大事にすべき存在ですか?」
「今のような我慢を重ねて関係性をつなぎ止めることで、あなたの人生はよりよいものになりますか?」
もしも答えがノーならば、相手との間に距離を置くべきでしょう。
さまざまな事情があって「それでも付き合い続けなければならない」というのであれば、「三猿」対応に徹して、せめて自分の意識の上で相手との間にしっかりと線を引きましょう。
カチンとくることを言われても淡々と聞き流し、相手にしない。
自分から相手の機嫌を取りに行くようなことはしない。
無理なことは安請け合いせず、無理だときっぱり伝える。
この三つを心がけるだけでも相手と同じ土俵に上がらず、平常心でやり過ごせるようになります。もちろん、ストレスも格段に減らせるはずです。
私は職業柄、余命宣告をされている患者さんと接することも多くあります。
そんな人たちを見て感じるのは、「我慢をしたまま人生を終えるのは悔いが残る」という事実です。余命わずかとなった人たちの多くは、人生を振り返って「もっと自由に生きればよかった」という後悔を口にします。
周囲の顔色をうかがい、空気を読み、我慢を積み重ねた先に残るのが、後悔だけだとしたら? そのまま一生を終えてしまうのは、あまりにもつらすぎます。
人生は、我慢をし続けることが当たり前ではありません。自分にストレスを与えている原因との付き合い方について、もう一度考えてみてください。