嫉妬とうまく付き合うシンプルな方法
嫉妬もまた、自律神経を乱すネガティブな感情の代表格です。
「同僚が自分より先に昇進できた」「自分よりも部下のほうが上司に認められている」「あいつよりも自分のほうが優秀なのに」など、ビジネスシーンにおいてもさまざまな場面で嫉妬の感情が顔を出してきます。
私自身も、経験則として「男の嫉妬ほど怖いものはない」と痛感しています。
嫉妬とは、つまるところ「小さなプライド」です。
他人と自分とを比較して、優越感に浸ったり、妬んだりしながら、自分の小さなプライドを必死に守ろうとしている状態。これが嫉妬の正体です。
組織に属している限り、比較や競争からは逃れられません。同僚と自分が同じタイミングで昇進することはありえないですし、後輩に追い抜かれることもあります。年功序列から能力主義へとシフトしつつある今の時代においては、それはもはや普通のことです。
では、どうすれば嫉妬とうまく付き合っていけるのでしょう。
簡単です。嫉妬している相手を褒めればいいのです。
ジェラシーにとらわれて目を曇らせるのではなく、「すごいね。どうしたらそんな風にできる?」「どんな工夫をしている?」と素直に相手に聞いてみてください。それがあなたの得意分野であればなおさらです。
嫉妬を削ぎ落として、探究心や向学心を高めます。「羨ましい相手は、素直に褒める」と自分の中で決めておく。このルールを守るだけで、嫉妬に苦しむ感情は消えていくでしょう。
他人と自分を比較することは、ほとんどの場合デメリットしかありません。
「あの人がいなければ自分が選ばれたはずなのに」という考え方にとらわれて嫉妬心を押し隠そうとすると、ネガティブな感情がドロドロと渦巻き、自律神経の乱れから不眠や体調不良を招いてしまいます。
どんな分野においても、優秀な人ほど謙虚です。その人たちは自分が選んだ分野において、上には上がいることをよく知っているからです。
他人の悪口を言ってばかりの人、嫉妬にとらわれてパフォーマンスを落としている人は、「自分との戦い」から逃げているだけともいえるでしょう。他人を責めているうちは自律神経は乱れる一方です。
不調なときほど深く呼吸する
妬みやひがみなどのネガティブな感情との付き合い方は、ゴルフにたとえるとわかりやすくなります。
ゴルフのプレーは4人1組でコースを回るのが原則です。ところが4人で回っていると、毎回必ず誰か1人は調子が悪い人が出てきます。すると、その人の顔からは笑顔が消え、どんどん口数が減っていきます。
ゴルフはスコア(得点)順に打つ順番が回ってくる競技ですから、調子が悪い人が最後に打つことになります。すると、他の3人がどんどん前へ行くのに自分だけ置いていかれるような気分になってしまいます。
焦ると呼吸が浅くなり、交感神経が過剰に高まるため、血管が収縮して血流も悪くなります。当然、思うようなパフォーマンスもできません。
結果として、イライラする、焦る、プレーで失敗する、失敗が続くことでまたイライラする……という悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
しかしプロですら好不調の波があるのですから、誰しも「調子が悪いとき」があるのは当然です。
このような場面でこそ、ゆったりと行動し、いつものように声を出していくことが大切になります。焦りやイライラは、自分への期待値を上げすぎているから生まれるのです。
「今日は自分の好調日じゃないんだ」と考え直し、深い呼吸を心がけながら、淡々と打ち続けていく。
不調なときに欲を出して一発逆転を狙うと、99パーセントは失敗に終わります。100回やってうまくいくのはせいぜい1回でしょう。
なぜなら「一発逆転できるはずだ」と自分に期待するほど、肩に力が入って自律神経が乱れてしまうからです。