酎ハイ190円、1000円でベロベロ

「イニシャルコストと店舗ランニングコストを抑え、客の回転を高める」

養老乃瀧営業開発部マネージャー 谷酒匡俊 たにさけ・まさとし●1971年生まれ、2000年入社。入社当初は360日外食で徹底的に居酒屋の基本原則を体に叩き込まれた。現在でも新橋のガード下などライバルの視察は欠かさない。

養老乃瀧は居酒屋フランチャイズの草分け的存在で元祖激安として知られる。しかしイマドキの若者への認知度は低く、彼らは小洒落た個室ダイニング系に流れる。頼みの中高年の常連客も家飲みにシフトし、来店数は目減りした。老舗チェーンにかつての輝きはない。再浮上のための起爆剤を会社は模索した。

神奈川県大和市の直営店の周囲には、数年前から相次いで競合店が現れた。そのため最寄り駅から遠い立地の店は客足が見る見る落ち、赤字決算が続いた。売り上げを伸ばす店もある中、「お荷物店」のレッテルが貼られ、閉鎖もやむなしという空気が濃厚だった。しかし、会社はおめおめと退散せず、チャレンジする。新業態「一軒め酒場」として、09年リニューアルオープンしたのである。同社首都圏本部営業開発部マネージャー・谷酒匡俊氏はこう胸を張る。

「売り上げは養老乃瀧時代と同程度なのですが、利益率がアップしています。テストマーケティングとして養老乃瀧のブランドを伏せましたが見事復活です」

生ビールの中ジョッキ340円、酎ハイ190円、枝豆150円、神田旨カツ一本99円とどれも低額で、最高額はほっけ焼きの350円だ。プレジデント編集部も利用したが、まさに1000ベロ(1000円でベロベロ)だった。