なかなか厳しいですが、塩分を15gから6gにする食生活を心掛けてください。ちなみに、岩塩や藻塩など天然の食塩でも、工業生産された食塩でも、どちらでも塩分は同じです。体にいい塩も減塩醤油もたっぷり摂取しては意味がありません。

スイーツは美食につきものです。「スイーツ別腹」はダメ押しの至福のひとときです。50代前半の女性患者さんは、アフタヌーン・ティーでスイーツを食べ、映画を見た後にイタリアンでデザートまでしっかり食べるのが趣味でした。

たくさんの塩分、脂肪分、炭水化物に加えて、さすがに糖分を摂りすぎで肥満となり、心房細動を発症して来院しました。血液検査では血糖値が高く、すい臓の機能が落ちており、糖尿病も併発していました。画像診断では、臓器全体の血管が相当狭くなっていました。

糖分のなかでも、スイーツに大量に使われるショ糖(白い砂糖)は糖尿病にとって一番危険です。果物の果糖や黒糖、ハチミツのほうがまだ安全です。

キッチンの収納棚
写真=iStock.com/Mod Quaint
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食塩、砂糖、小麦粉は心臓病のリスクを高める

小麦粉が原料のスパゲティはイタリアンには外せないメニューです。炭水化物なのでたくさん食べると糖尿病になりやすくなります。

しかもパスタをゆでるのに大量の塩分を入れます。塩辛ければ塩辛いほどおいしく感じるからです。現代人は美食の塩分に舌、味覚が慣れています。さらに厄介なことに、小麦粉という白い粉ものは体の吸収が良く、太りやすいのです。

このように美食が習慣になっている人は、食塩、砂糖、小麦粉によって、生活習慣病、心臓病リスクが高まっています。そのため、「悪魔の3つの白い粉」と呼ばれています。

美食という仮面をかぶって、人の感覚をマヒさせ、体に悪い悪魔の働きをするのです。じっくりと長い年月をかけてダメージを与えます。ジェノサイド(大量殺人)というのは極論ですが、戦争よりもはるかに多くの人に、命に関わる悪い影響を与えています。

突然のことにドキッと驚いて「心臓に悪い」「寿命が縮まった」と言いますが、ハッとして病院送りになることはありません。「悪魔の3つの白い粉」のほうがはるかに心臓に悪く、静かに心臓に忍び寄るサイレントキラーになるのです。

非合法の薬物ではなく、水や空気と同様、日常摂取している当たり前の食材の所業。体に悪いものはおいしい、体に良いものは物足りないという究極の二律背反ですが、塩辛いのが当たり前という感覚だけでも、少し改めたほうが良いのは明らかです。

我慢ができないなら「毒を食べる日」をもうけよう

外食は塩分とともに脂肪分も高めです。焼肉はこれが顕著です。タレの塩分と肉の脂肪分が何とも言えずおいしく感じ、病みつきになるのですが、心臓病リスク因子である「悪玉コレステロール(LDL)」の数値を高めます。