空回りが相手の緊張を解きほぐす
私が恥ずかしい存在になって空回りすると、撮られる側は楽になる。するといい表情を必ず引き出すことができる。私はそう信じているし、実感している。
もちろん目の前の相手を尊重する気持ちが大切だ。撮っているのではなく、撮らせていただく。だから、私はどんなに年齢が離れた年下でも、常に敬語で接することにしている。それらを疎かにするとあっという間に足をすくわれる。
一方で、高校生くらいの若者を撮ることの方がずっと難しいと思うことがある。彼らは大人を冷静に観察している。もちろん、場合と個人差はあるが彼らは愛想笑いをしてくれない。自意識が高い世代でもある。さきほどの「コーヒー作戦」も「おでん作戦」も通用しない。彼らはコンビニでコーヒーやおでんをあまり買わない。だからこそ技量が問われる。