【リードWho?の法則】の本質は、「だれが自分の人生のリーダーなのか」を認識することにある。より具体的に言えば、「自分が、自分の人生のリーダーとして、自分のご機嫌を取ること」だ。

人はだれしもが自分の人生のリーダーである

唐突なようだが、『リーダーシップの旅』(野田智義・金井壽宏:著)という名著の一節を紹介したい。ここには、【リードWho?の法則】に通じる、核心的な内容が書かれている。

旅は自分が大切にしている宝物を探すために始まるのであり、その時点ではだれもまだリーダーではない。

リーダーシップの旅は、「リード・ザ・セルフ(自らをリードする)」を起点とし、「リード・ザ・ピープル(人々をリードする)」、さらには「リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)」へと段階を踏んで変化していく。

どうだろうか? あなたはこの一節に、なにを感じ取るだろうか? 私は、この一節は「リーダーシップ論」というよりも、「人生の核心」を表していると思っている。「人がどのように成長して、仲間とともに、社会を変革するのか?」を、3つのフローで端的に表しているのだ。

リード・ザ・セルフ:まず、自分を率い、目標を達成する
リード・ザ・ピープル:つぎは、仲間を率い、目標を達成する
リード・ザ・ソサエティ:そのつぎに、社会を率い、目標を達成する

私なりに解釈を加えて整理すると、以上のようになる。つまり、なにかを変革するときの重要な順番は、「①自分→②仲間→③社会」であると示している。

くり返すが、この考え方は核心的だと、私は思う。その理由は、この考え方が「人生そのもの」にも使えるからだ。別の言い方をすれば、すべての人は、「自分自身の人生をリードする(=率いる)存在である」からだ。

ビジネスの世界において、リーダーをめざしている人も、そうでない人も、自分の人生においては、リーダーであり続けるのだ。つまり、どんな人でも必ず、「自分をリードする方法」を知っておいたほうがいいのだ。

群衆の先を歩く一人の男
写真=iStock.com/studio-fi
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自分の感情すらリードできない人に人は寄ってこない

では、自分自身のリーダーであるあなたが、まず達成するべき目標とは、なんなのか? それが、「自分がご機嫌でいること」なのだ。

「本当に?」「そんなことでだいじょうぶ?」と思う人がいたら、あなたがフォロワー(=ついていく人)の立場になって、イメージしてみてほしい。あなたは、自分の感情さえリードできていない人についていきたいと思えるだろうか? 大事なキャリアを任せたいと思うだろうか? あるいは、この人に社会の変革をお願いしたいと思うだろうか? おそらく答えは、「ノー」だろう。

だから、まずは、リード・ザ・セルフ。そして、リード・ザ・ピープル。最後に、リード・ザ・ソサエティなのだ。行き着くところ、「自分の取扱説明書をつくる=自分で自分の感情をリードできるようになる」ということなのだ。