心身ともに健康でいるためには4つのゾーンのバランスが大事

そして、自分の取扱説明書をつくる際、とても大切なのは、あなたに起きる出来事や状況を、この4つのゾーンに分類して、整理することだ。というのも、あなたが心身ともに健康であり続けるためには、この4つのゾーンのバランスを考えることが重要なのだ。

たとえば、どれだけあなたが非日常的な楽しみに満足していたとしても(=A:ワクワク・興奮ゾーン)、日常の生活に飽き飽きし、かつ、面倒事と嫌いなことに囲まれていたら(=C:面倒事・嫌いゾーン)、ご機嫌である状態は、長くは続かないだろう。

あるいは、どれだけ夢中になれる趣味があったとしても(=B:こだわり・趣味ゾーン)、常にイライラし、怒りと悲しみに満ちている人には(=D:怒り・悲しみゾーン)なりたくないだろう。

つまり、この4つのゾーンを分離し、整理することで、心身の健康状態をキープしやすくなるのだ。

では、分類し、整理したうえで、具体的にどのように考えていけばいいか? その答えは、自分なりの方法論を書き出すことだ。この方法論が、あなたが自分の取扱説明書に書くべきことである。

ポジティブゾーンは質と量の最大化を目指す

さて、ここから、4つのゾーンに対して、自分なりの方法論を具体的に考えていくわけだが、まず前提となる、目標の違いについて整理しておきたい。

4つのゾーンのうち、上段の「A:ワクワク・興奮ゾーン」「B:こだわり・趣味ゾーン」(=ポジティブゾーン)と、下段の「C:面倒事・嫌いゾーン」「D:怒り・悲しみゾーン」(=ネガティブゾーン)では、目標が違うのだ。

より具体的にまとめると、こうなる。

ポジティブゾーン(A&B)
→質を高め、量を増やすことが目標=質と量の最大化が目標
ネガティブゾーン(C&D)
→ゼロに近づけることが目標=ダメージの最小化が目標

つまり、ポジティブゾーンは、質と量の両方を最大化していくことが目標である。たとえば、あなたの「A:ワクワク・興奮ゾーン」に当てはまることが旅行だとしたら、旅行の回数と、その1回あたりの質を、最大化するのだ。

北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)
北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)

また、このゾーンに当てはまることの理由を言語化し、その理由を満たす、ほかにできることはないかを考えることも、最大化に有効だ。旅行の場合であれば、おいしい料理を食べるのが好きなのか、それとも、自然に触れることが好きなのか、その理由を言語化しておくのだ。

そうすれば、もしあなたが旅行できない状況になったとしても、近所でおいしいレストランを見つけたり、本や動画で自然を感じたり、「ワクワク・興奮」を満たす、旅行以外の手段を見つけることができる。このように、変化への対応力を上げることは、ポジティブゾーンの最大化につながるのだ。