近年、海洋開発の技術が進み、海には陸以上の資源が眠っていることがわかってきている。そのため、排他的経済水域の広さというのは、その国の資源埋蔵量に直結する問題になってきているのだ。
中国という国は、東アジアの広大な地域を占める「陸の大国」である。が、近海には、日本、フィリピン、台湾があり、ちょうど中国からの海への道をふさぐような形になっている。また中国の南端と東端には、インドシナ半島と朝鮮半島があり、韓国、ベトナムなどと海を分け合う形になっている。
つまり、中国という国は、海に向かうといろんな国とぶつかり合う位置にあるので、排他的経済水域は、国土の割には非常に狭くなっているのだ。
中国は、少しでも排他的経済水域を増やしたい。そのため、日本をはじめ、フィリピン、ベトナムなどの海域を侵し、紛争の種となっている。
メンツと経済的利益…中国は絶対に台湾を諦めない2つの理由
尖閣諸島問題なども、もろに海洋資源が絡んでいる。
尖閣諸島とは、沖縄から左(西)に約400キロ離れた八つの小さな島である。この尖閣諸島は、戦後まで何のトラブルもなく日本の領土として国際的に認められていた。
しかし、1969年、国連の海洋調査で「近海に豊富な油田が存在する可能性がある」と発表された途端に、中国が領有権を主張し始めたのだ。
また日本が戦後、領有権を放棄した南沙諸島も同様である。南沙諸島周辺の海域には、豊富な石油、天然資源が眠っているとされている。中国の調査では、2000億バレルの石油が埋蔵されているという。
これはサウジアラビアの埋蔵量に匹敵する。そしてこの南沙諸島は現在、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどが領有権を主張している。
中国としては他国の領域さえ分捕ろうという姿勢なのだから、台湾を手放すようなことは絶対にないのだ。
しかし、現在の台湾を形成した国民党政府は、第二次世界大戦以前からアメリカ、イギリスなどの連合国が支援してきた政府であり、現在も強い結びつきがある。アメリカ、イギリスなどのメンツもあるので、香港のように、簡単に中国に吸収されることはないだろう。
台湾問題も、今後の世界情勢において大きな火種になりかねないのだ。