なぜアメリカは世界最大の自動車大国でなくなったのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「現在の売れ筋は小型車であるにもかかわらず、アメリカの自動車メーカーはアメリカの売れ筋の車を、そのまま世界市場で売ろうとしているからだ」という――。

※本稿は、大村大次郎『関税の世界史』(宝島社)の一部を再編集したものです。

真っ赤なフォード マスタングコンバーチブル
写真=iStock.com/Daviles
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アメリカが日本車を攻撃するワケ

トランプ大統領は、関税交渉などでたびたび日本車の批判をしています。

これには、多くの日本人は、肝を冷やしたはずです。

このトランプ大統領の日本車批判には、勘違いの部分が多くありました。が、トランプ大統領が、日本車に悪いイメージを持つことに、無理もない面があります。

というのも、長年アメリカは、対日貿易赤字に苦しめられてきました。そして、対日貿易赤字の一番の原因が自動車だったからです。

日米貿易摩擦というと、日本人は1980年代のことを思い浮かべる人が多いはずです。そして、日本人の多くは、「日米貿易摩擦はもう終わった」と思い込んでいます。

しかし、アメリカにとって、日米貿易摩擦は決して過去の問題ではないのです。

対日貿易赤字はむしろ増えている

1980年代、アメリカの対日貿易赤字がもっとも大きかった年は、1987年です。この年、アメリカの対日貿易赤字は、約570億ドルでした。

2024年のアメリカの対日貿易赤字は、約687億ドルです。

つまり、1987年と現在とでは、アメリカの対日貿易赤字は、まったく減っていない、むしろ増えているのです。もちろん、1987年と現在とではGDPの規模がまったく違うので、直接の比較はできません。

しかし、アメリカの対日貿易赤字の規模が、今も相当に大きいことは間違いないのです。

なぜ日米貿易摩擦が昨今あまりいわれなくなっていたのか、というと中国の存在が大きいからです。かつてアメリカにとって貿易赤字の最大の相手国は日本でしたが、現在は中国に代わったので、日本に対する風当たりが減っただけのことなのです。

そして、アメリカの対日貿易赤字の大半が、自動車の輸入なのです。だからこそ、トランプ大統領は、日本車を目のかたきにしているのです。