さらに、コロナ禍も普及を後押しする可能性がある。世界的にインターネットの利用時間は長時間化しており、日頃からネットコミュニケーションに慣れ親しんでいるユーザーは増えている。

20年前とは違い、メタバースを利用するための環境も整っているし、ユーザーの心理的抵抗感もなくなっている。これが、メタバースの普及を大いに後押しするだろう。

メタバースのクラスとミーティング VRメガネ メタバースの世界の人々のアバターとサンドボックスの3Dイラスト
写真=iStock.com/naratrip boonroung
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家にいながらライブ会場にいるような臨場感

ゲームの領域でメタバースの普及が進むことはまず間違いない。「フォートナイト」などのゲームはほとんどメタバースに近い感覚が得られるし、「あつまれどうぶつの森」などがメタバース寄りに進化する可能性も高いのではないか。

オンラインでのライブ視聴も一般的になりつつあり、バーチャルライブも行われている。たとえば2020年には、フォートナイトで米津玄師がバーチャルライブを開催して話題を呼んだ。参加したユーザーは、集まった他のプレーヤーと共に、メインステージの巨大スクリーンに映し出されたライブ映像を観る一体感が味わえたという。

このように、オンラインでも会場にいるような臨場感を得られるので、ライブ感が重視されてきたイベントにも活用が広がっていくだろう。

医療・ヘルスケア分野でも活用が期待されている

コロナ禍で広まったテレワークでは、社員間コミュニケーションがうまくいかないことを課題として挙げる人が多い。その点、メタバースはコミュニケーションを活性化させ、国境をまたいだ会議などにも有効に使える。アバターを使ったオンライン会議や社員ミーティングで、実際に会った時と近い感覚で話し合いができるはずだ。

医療・ヘルスケア分野でも、メタバ―ス空間での遠隔診療だけでなく、メタバース技術の活用が期待されている。

医療ITベンチャー「ホロアイズ」がVRとMR(複合現実)技術を使って開発した医療用画像処理ソフトウェア「Holoeyes MD」は、人体の3Dデータを3D空間で体験、共有できる。手術前に実際の手順をシミュレーションでき、術中の出血量を減少させたり、手術時間を短縮したりする効果があるという。

このように人が行っている活動の大部分が、メタバース上でも実現する可能性があるのだ。