2000年代のネット速度はあまりに遅かった

筆者も流行当時、セカンドライフを利用してみたことがある。見るもの聞くもの新鮮で面白かったが、すぐに画面が動かなくなってしまい、快適とは言い難い体験となった。

当時はパソコンの処理能力は低く、インターネット速度は遅かったため、セカンドライフに入っても画面が固まってしまうことが頻発。スムーズに利用できるユーザーは多くはなかった。セカンドライフは、時代をあまりに先取りしすぎたのだ。

セカンドライフの時代から20年近く経った現在は5G時代であり、環境は様変わりした。コンピュータの処理能力が格段に高くなり、インターネットが高速・大容量で利用可能になったことは大きいだろう。

※編集部註:初出時、セカンドライフの説明に不適切な引用があったため、当該箇所を削除しました。(4月22日22時10分追記)

ネット交流に対する心理的抵抗感もなくなっている

メタバースも、専用ゴーグルを着用して仮想空間にいるような視覚体験を得るサービスから進化している。MetaのVRプラットフォーム「Horizon Worlds」も現在はQuest2のヘッドセットの仕様が必須だが、2022年後半にもスマートフォンやパソコンなどをつなぐ新しいソーシャルアプリを目指しているという。

KDDIが手掛ける「バーチャル渋谷」「バーチャル大阪」は、バーチャルSNS「Cluster」上でコミュニケ―ションやイベントを楽しめるサービスだ。2020年のハロウィーンイベントには、バーチャル空間にできた「渋谷」の街に世界中から約40万人が訪れたという。ClusterはVRゴーグルだけでなく、スマホやPCでダウンロードしたアプリから利用可能だ。

SNSが「溝(キャズム)」を超えたのは、スマホの普及も大きかったはずだ。VRゴーグルやハイスペックPCが必須なのであればハードルは高いが、スマホで利用可能なのであれば敷居はぐっと下がり、ユーザーの裾野も広がる。