※本稿は、前野隆司『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)の一部を再編集したものです。
孤独を「見える化」した…SNSがもたらした大問題
私は、現代の日本人が孤独を感じやすくなった原因のひとつは、SNSだと考えています。いろいろな人とつながることができるようになったのと同時に、見えるようになったのは、ほかの人たちのつながりや行動です。
SNSが普及していなかった頃は、友だちや恋人が自分以外にどんな人間関係を持っているのか、自分と離れた場所で誰と何をしているのか、あまり見えませんでした。SNSの普及が、ほかの人と自分を比べるという、孤独感をつくる原因のひとつになっているのです。
SNSで孤独を感じるわかりやすい例が、フォロワーや友だちの登録数を、ほかの人と比べて落ち込むパターンです。SNSを利用するとフォロワー数や登録数、閲覧数などは見たくなくても見えてしまうものですから、意識するのは仕方がありません。
だからといって、比べるものでもないのです。
簡単につながりやすいということは、簡単に切れやすいことの裏返しでもあるし、必ずしも深い関係性が構築できているとはいえません。逆に、数が多いことで、少しでも減ってくると孤独を感じることもあると思います。
極端に減ると、絶望感さえ覚える人もいるのではないでしょうか。SNSは残酷なまでに孤独を見える化するツールでもあるのです。
SNSによる孤独を深めているのは、どの国にも共通する事象ですが、特に日本人はSNSが原因で孤独に陥りやすいのではないかと考えています。
日本人の約8割が持っている「心配性の遺伝子」
その理由は遺伝子です。
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」をご存知でしょうか。セロトニンが分泌されると心が穏やかになり、ものごとを前向きに捉えることができます。
2009年に発表されたセロトニンに関する研究結果によると、セロトニンを多くつくれるタイプの遺伝子がL型、多くつくれないタイプがS型。細かく分けると、LL型、SL型、SS型の3つに分類され、日本人の約8割は、S型(SL+SS)です。