これまでの人生で起きた出来事を少しずつでいいので紙に書いてみると、あんなことや、こんなことが思い出されます。苦しかったこともあるでしょうが、案外、楽しい思い出もいっぱいあるでしょう。ずっと寂しいばかりの人生だった訳ではないのです。

「人生」が長すぎるのであれば、今年1年の出来事でも構いません。1年の間に、さまざまなことがあったでしょうが、悪いことばかりではなく、いいことも意外に多いことに気づくはずです。

紙に書き出してみることで、「今」から離れて、自分を客観視できます。「今」に囚われてばかりいると、目の前の苦しみばかりが気になって、悪い方向に気持ちが向かってしまいがちなのです。

自分を外から見るような視点から冷静に自分を見つめ直すことを、心理学の用語で「メタ認知」と呼びます。

「ありがとう」が持っている驚きの効果

【ポイント②】「自分」から離れる

孤独が不幸だと思っている人の特徴として「自分の内面」にばかり目が向いて、自分の外を意識できていないことが挙げられます。そういう人は「どうして自分ばかりが孤独で辛い思いをするのか」という理不尽さを感じながら生きているのではないでしょうか。

前野隆司『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)
前野隆司『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)

その気持ちは、よくわかります。しかし、「自分の幸せ」だけを望む人は、今の自分が「幸せではない」ことに囚われてしまった結果として、辛さや苦しみから逃れられなくなっているのです。

そこでおすすめなのが「自分以外の誰かを喜ばす」ことです。

自分の外に目を向けて、「目の前の人に喜んでもらうことに集中しよう」と思うと、驚くほど心がスッとらくになります。

目の前の人は、パートナーや家族、友人でなくても構いません。いつも行くお店の店員さん、いつも利用している駅の駅員さん、そのほか、多くの人があなたのそばにいます。

そうした人たちに、「ありがとう」と伝えてみることから始めてみませんか。

その際のポイントは、見返りは求めず相手に喜んでもらうことだけを考えること。最初はぎこちなくても、毎日少しずつ続けていくとスムーズに言葉が出るようになるでしょう。あるいは、横断歩道を渡ろうとしているおばあちゃんの手を引いてあげるのもいいでしょう。

本人から直接もらえる感謝の気持ちは、SNSで「いいね」をたくさんもらうよりも、ずっと素敵なことだと思いませんか。

人間は本能的に「誰かのためになる」ことに喜びを感じるということが研究によって明らかにされています。目の前の人を笑顔にするささやかな「利他」の心は、あなたの孤独感を癒してくれるでしょう。

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