SNSは他者との比較が容易なツールですから、フォロワーの多い人や、コメントするとすぐにリプがつく人と自分を比較して、寂しさを感じやすい状況にあるといえます。

S型の遺伝子を持った人が、SNSは使うことで、必要以上に不安になったり、疎外感を覚えたりする恐れがあります。

孤独が原因で起きる、疎外感、寂しさ、悲しさといったネガティブな感情をひとくくりにして「孤独感」と呼びます。日本人はSNSによる孤独感を感じやすい傾向にあります。

孤独感が早期死亡リスクを2倍にする

「孤独感」がもたらす悪影響で、意外に知られていないのが健康被害です。

アメリカ・ブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授は、2010年に「社会的なつながりを持つ人は、持たない人と比べて早期死亡リスクが50%低下する」という研究結果を発表しました。つまり、孤独が死亡率を2倍にするというわけです。

そのリスクは、

①たばこを1日15本吸うことに匹敵する
②アルコール依存症に匹敵する
③運動をしないことよりも高い
④肥満の2倍高い

に匹敵すると結論づけました。

窓際に座っている孤独な女性の後ろ姿
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

また、ホルトランスタッド教授は2015年に、社会的孤立の場合は29%、孤独の場合は26%、独り暮らしの場合は32%も死亡する確率が高まるという結果も発表しました。

2005年のオーストラリアの研究でも同じような結果が出ています。加えて、子どもや親戚などとの関係性は長生きに関係ないが、友だちが多い人はほとんどいない人よりも長生きすると報告されています。

先述したように、日本人はただでさえ、孤独感を覚えやすい心理的傾向を持っているうえに、SNSの普及でより孤独感を深めてしまいかねません。今の状況は、気づかないうちに人の心身を蝕み、寿命を縮めることにつながります。

孤独感が健康に与える悪影響は多岐にわたるのも特徴です。

うつ病、統合失調症、薬物やアルコール中毒などの依存症といった心の病気、がん、脳卒中、免疫力低下による肺炎などの身体的な病気など、死亡リスクだけではなく、病気を発症するリスクも高めるのが孤独感なのです。

孤独感は「心のクセ」に過ぎない

孤独感は主観的なものであり、個人差があります。同じ状況でも寂しいと感じる人もいれば、寂しさを感じないどころか、楽しいとさえ感じる人もいます。

そして、人間には、マイナスの感情を増幅させる愚かな特性があります。それを言い当てたのが、プリンストン大学名誉教授でノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマンで、「フォーカシング・イリュージョン」です。

フォーカシング・イリュージョンとは、間違ったところに焦点を当ててしまうという意味です。

みなさんは、お金があれば幸せになれると思いますか?

半分正解で、半分不正解です。