「メタバース」は日本でどこまで浸透するのだろうか。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「ゲーム領域はもちろん、エンタメや日々の業務、医療分野に広く普及する可能性が高い。一方、オンラインゲームと同様、リアルタイムでのコミュニケーションは依存症になりやすいため、特に子供の利用には注意が必要だ」という――。
夜にバーチャルリアリティヘッドセットを身に着けている寝室で自宅でビデオゲームをプレイする十代の少女
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メタバースに活路を見出したFacebook社

メタバースとは、Meta(超越する)とUniverse(世界)を組み合わせた造語だ。元々は、1992年のニール・スティーブンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』の中で出てきた仮想空間サービスの名前だった。そこから転じて、様々な仮想空間サービスの総称となっている。

注目を集めたきっかけは、2021年にFacebook社が社名をMetaに変更し、CEOマーク・ザッカーバーグが「今後はメタバースに注力する」と宣言したことだろう。TikTokなどの他のSNSが台頭し、Facebookの成長率は近年鈍化し、ユーザー増加率は過去最低となっている。そんな中、メタバースに活路を見出したというわけだ。

そして、コロナ禍でインターネットを通じたコミュニケーションが当たり前となったことで、多くのユーザーや企業が熱い視線を送っている状態なのだ。

早すぎたメタバース「セカンドライフ」

一方、過去の類似のブームを知っている人からはこんな冷ややかな声も聞こえる。

「メタバースにはまって3Dアバターで交流を繰り返す人もいるけど、セカンドライフと同じですぐに消えると思う。メディアと企業が騒いでいるだけなのでは」

セカンドライフはメタバースの先駆けと言われることが多いが、正確にはどこまでをメタバースに含めるかという定義が定まっているわけではない。人気オンラインゲーム「フォートナイト」や「Minecraft」などを含める人や、「あつまれどうぶつの森」も該当するという人もいる。