――00年に日本法人を設立したのち、07年に日本郵政公(当時)社から受注を獲得、09年には、国内IT大手に先んじて経済産業省のエコポイント用システムを3週間で開発、納品されました。なぜこれほどスピーディに市場に食い込んでいけるのでしょうか。

IT革命により、すべてにおいてますますスピード感が問われる時代になりました。オープンで人々が緩やかにつながれる組織は、迅速かつローコストであらゆることをやり遂げることができる。企業内ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)などの活用でそれが実現できるのです。

私は経営者として、「SOCIAL」というコンセプトを大切にしています。

「S」は「Speed」を示します。今後も、ますます起業にスピード感が求められる時代になる。「O」は「Open」すなわち「透明性」です。例えば日本を襲った今回の地震で、私たちは日本政府や東京電力などにもっと情報開示を求めることができたのでは、と自省もしています。そして「C」は「Collaboration(協業)」。会社や従業員、顧客のほか、ベンダーやサプライヤーとの緩やかな「つながり」は素早い協業に欠かせません。

「I」は「Individual(個人)」を表します。すべてやり遂げているのがリーダーだと思ってはいけない。実現するのは従業員なのです。まさに人がパワーの源泉なのですから、リーダーは個人を奮い立たせることが重要です。「A」は「Alignme nt(連携)」。一人ではなく、みんなで正しい方向に進むのです。

そして連携する際のキーワードが「L」の「Leaderless」です。先般の中東で起こった革命やウオール街のデモのように「リーダーがいない」情況が現代を象徴しているのです。企業内SNSの中で一社員が発したつぶやきに別の部署の人や経営者が自由に意見を重ねてゆき、そこから世界を動かすようなプロジェクトが生まれる。これが次世代企業体の姿といえるでしょう。