古臭い「身分制社会」が外国人に知れ渡る
安倍政権は外国人労働者の受け入れを拡大しましたが、日本社会の「身分制」を放置したままであれば、非正規の下に「外国人」という新たな身分ができるだけです。妊娠した外国人の技能実習生に対し強制帰国や中絶を迫る例が報じられていますが、これは明らかな人権侵害で、国際社会ではとうてい許容されません。
日本的雇用に組み込まれた国籍差別をなくさなければ、「外国人労働者への門戸開放」は、日本がいまだに身分制社会であることを白日の下にさらすだけでしょう。
とはいえ、外国人にとって日本的雇用になんのメリットもないわけではありません。日本の大学に留学し、日本人学生といっしょに就活して、新卒一括採用で「正社員」になれば、日本人の社員と同等に扱われるからです。
欧米社会で外国人留学生が職を得る困難を考えれば、これはずっと魅力的なので、アジアの優秀な若者たちが日本の大学を目指す理由になっているとの指摘もあります(とはいえ、この留学生たちも仕事を覚えれば転職していくのでしょうが)。
性差別的な国が「差別などない」と言っても説得力に欠ける
さらにつけ加えるなら、保守派のひとたちは、慰安婦問題で日本の主張がなぜ国際社会で通用しないかを真剣に考えるべきです。これは一般に「韓国の陰謀」とされているようですが、韓国が国連の人権委員会に自分たちに有利な報告書を書かせ、米下院やEUに非難決議を出させるちからを持っているのなら、いまごろ世界を征服しているでしょう。
国際社会から戦時中の日本軍の行動が疑いの目で見られるのは、いまの日本が性差別的な社会だと思われているからです。女性を差別している人間が、「むかしは差別なんかしていなかった」といくら言い張っても相手にされないのは当たり前です。
男女の社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数で日本は世界最底辺の120位ですが、これが北欧諸国と同じ10位以内に入るようになれば、国際社会は従軍慰安婦問題でも日本の主張に耳を傾けるようになるでしょう。