内閣府の調査によれば、国民の教育費負担感は年々上昇している。授業料・学費・塾代、習い事費、制服代、仕送り代といった教育費が家計をどれほど占めるかチェックした統計データ分析家の本川裕さんは「有名大学のある大都市圏とその通学圏では学費の負担が大きい。また、都市圏からあまり遠くないもののギリギリ自宅通学しづらい北関東(栃木、茨城)、東四国(香川・徳島)などは仕送り代などの負担が極めて大きい」という――。
家計にとってますます重く感じられる教育費
2022年の新学期が始まった。大学の新入生が期待に胸をはずませて、勉学にいそしもうとしているが、親にとって頭が痛いのは、それにともなう教育費負担の重さである。
実際の教育費の額についてふれるまえに、まず、教育費の負担感が近年ますます重く感じられるようになっている実態を、意識調査の結果から見ておこう。
内閣府では「少子化社会に関する国際意識調査」を5年毎に実施しており、その中で、「子育てに関して何が経済的負担として大きいか」をきく設問を設けている。図表1は、日本の結果を2010年から掲げている。
もっとも回答が多く集まっているのは「塾など学校以外の教育費」であり2020年には59%が大きな負担だと答えている。後述記事との関連では、自宅外で通学する子どもへの仕送り費用の負担感もこの「塾など学校以外の教育費」への回答に含まれていると考えられる。
次に回答が集まったのは「習い事費用」の43%である。教育関連では、さらに「学校教育費」が37%と多くなっている。
こうした教育関連の諸費用については、2010年から5年毎の調査で、いずれも毎回回答率が上昇しており、教育費の負担がどんどん重く家計にのしかかって来ている状況がうかがえる。
2010年から20年にかけて、回答割合が低下しているのは「医療費」ぐらいであり、ほとんどの項目で負担感が増している点に、教育費を筆頭に子育ての経済的負担が全体的にますます家計を苦しめている状況がうかがえる。収入が伸びない中では2人の子育ては無理で1人で我慢、あるいは子育て自体をあきらめざるを得ないという方向に向かってもおかしくはなく、少子化の要因としては、やはり、これが一番であろう。