日本人の睡眠時間は世界最短というデータがある。産業医の穂積桜さんは「日本人の5人に1人は『隠れ不眠』と考えられている。風邪をひきやすくなるなど、睡眠不足のリスクを正しく理解したほうがいい」という――。
※本稿は、穂積桜『朝型 夜型 中間型は遺伝で決まっている! クロノタイプ別 睡眠レッスン』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
年600人の産業医面談の7割は睡眠に問題がある
現在19社の企業の産業医として働くわたしの仕事の内容は、各社の経営方針・業態・規模によっていろいろ違いがあります。
しかし、そのなかで一貫して大切にしているのが、従業員のみなさんの心身の不調に対し、面談を通じてしっかりとアドバイスをするということです。
産業医面談で会う人の数は、年間で約600人にも上ります。産業医面談に訪れる人の症状は多岐にわたりますが、そのなかで本書のテーマである睡眠に問題がある人は、全体の約7割もいると見ています。
体調不良を回復に導くには、「睡眠をいかに取ってもらうか」がどれだけ重要なことであるかということを、日々痛感しています。
これまで、「体調が万全でなくても、目先の仕事、家事、育児、介護があるから、気にしていられない!」と全力で突っ走るビジネスパーソンにたくさん出会ってきました。
そんな人たちに向けて、「少しでも役に立つ情報をベストなタイミングで伝えたい」「なるべく大事に至らないうちに体調を整えるお手伝いをしたい」と思いながら仕事をしています。
また、精神科医の立場から見てきた患者さんたちは、「睡眠がよく取れていると緊張がとてもゆるむ」ということも教えてくれました。眠ることで体調が整う下地ができるイメージで、まさに睡眠は「最高の薬」なのです。