日中にたっぷり使われた脳を冷却する役目も

それから、睡眠には「脳のなかの老廃物を外に排出する」という働きもあります。この作用には、認知症を防止するという側面もあるとされています。

極端な表現になりますが、「睡眠不足が続けばいずれ認知症を引き起こしかねない」――そういわれれば、睡眠の重要性をわかってもらえるかもしれませんね。

さらには、血糖値を安定させたり、精神的な落ち着きを取り戻させたりするといった作用など、睡眠が果たす役割は枚挙にいとまがありません。

もっと大きな視点で睡眠の存在理由を考えてみます。これは、「そもそも、なぜ人間は眠るのか」という問いに対する答えといえるかもしれません。

それは、人間が生きていくためにはなるべくエネルギーを使わない時間が必要だからです。そして、睡眠によって体力を節約する時間が生まれたことが、他の動物と比べて人間を飛躍的に進化させました。

また、人間ほど脳を酷使する動物も存在しません。日中にたっぷり使われた脳は、いわばオーバーヒート状態にあります。その脳を冷却してメンテナンスをすることにも睡眠は使われています。

つまり、人間が人間らしく活動するために、睡眠はなくてはならない重要な要素だということです。

(イラストレーション=伊藤美樹)
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