黒柳徹子が『徹子の部屋』で語った理想の死に方

テレビを見ている人たちは、私のことをグイグイ前に前に出るタイプだと思っているんじゃないでしょうか。

テレビ番組は視聴者に向けての一種のショーでもあります。まず、視聴者が楽しんでくれなければ、と思っています。

だから、議論が沈滞しているときや、話がわかりにくいとき、私は司会者の立場を超えて自分の考えを述べたり、あえて挑戦的に相手に突っ込んだりします。それはあくまでもテレビという媒体だから、そうするのです。

雑誌や単行本などで、私が誰かをインタビューや取材する場合、私は徹底して聞き役に回ります。相手がしゃべりやすいように、ときに相槌を打ちながら、ここがポイントというところでツボに入る質問をします。

相手に「よくぞ聞いてくれた」「もっと話したい」と思わせ、どんどん話してもらう。それが本来の私の姿なんです。

先日、長寿番組である『徹子の部屋』にゲストとして招かれました(2021年11月23日放送)。黒柳徹子さんは1933年の8月生まれ。御年88歳で私の一つ上です。番組も長寿だけれども、何より徹子さんがお元気でお若いのに驚きます。

途中まで、私は徹子さんの質問に答えていました。でも、自分のことを話すのは本来得意ではありません。思わず「徹子さんの元気の秘密はなんですか?」「どうしてそんなに若いのですか?」と、逆インタビューをしてしまいました。

まさか、彼女も自分がインタビューされると思っていなかったでしょう。最初はちょっと面食らったみたいです。それがテレビではむしろ新鮮に映ったのではないでしょうか。

彼女は、元気の秘けつは悩まないこと、よく寝ることだと言う。なるほどな、と思いました。

私はさらに、「自分の理想の死に方は生放送中にバッタリと逝くことだけど、黒柳さんは?」と聞きました。

すると、彼女も同じように仕事の現場でバッタリが理想だと答えてくれました。

「もっと自分を知ってほしい」と思ってもらえるか

私は自分のことを語るよりも、人の話を聞く方が好きです。それによって新たな発見をして、相手に対するイメージや考えが変わっていく方がワクワクするからです。

ジャーナリストだから特別そうなのかもしれません。

けれど、コミュニケーションの中で一番必要なのは、相手に対する好奇心、興味でしょう。それは誰でも変わらないと思います。

テクニックをどれほど身につけても、そもそも相手に対して興味がなかったら、有意義なコミュニケーションなど成立しません。

自分のことばかり話して相手の話を聞こうとしない人に、誰も「もっと自分を知ってほしい」と思わないでしょう。

そして相手に興味を持つには、相手のことをある程度知っていないといけません。

その意味でも事前に調べ、相手のこれまでの人生や性格、興味などを知っておく。知ることで、この人はもしかしてこういう人なんじゃないか? 世間ではこう思われているけど、本当は別の顔があるんじゃないか? と、興味がどんどん広がっていくわけです。