「昼はドンブリ、夜はラーメン」という罠
では、具体的に何を食べればいいか、それはズバリ、タンパク質だ。
まず、日本人はタンパク質の摂取量が圧倒的に足りない。
人間が1日に必要とするタンパク質は、体重1キロにつきおよそ1グラムだと言われている。しかし、これは厚生労働省が約20年前に発表した「これくらいとっていれば健康に害はないですよ」という必要最低限の量である。
実は、筋肉量を増やし、代謝を上げたいなら、その2~2.5倍とらなければいけない。体重60キロの人なら120グラムから150グラムだ。
具体的に言うと、鶏ムネ肉1枚に含まれるタンパク質がおよそ40グラムだから、毎日3枚強は食べなくてはいけないということになる。
しかも最近は2倍どころではなく、もっと必要だという説も出てきている(ただし、どれだけ食べてもいいわけではなく、3.3倍を超えるとそれ以上の効果が見込めなくなると言われている)。
ところが、多くのビジネスパーソンは、時間に追われて、「朝はパンとコーヒー、昼はドンブリもの、夜はラーメン」というような、炭水化物中心の食生活を送っている。
これでは、タンパク質の摂取量が足りなすぎる。炭水化物で腹を膨らませていると、タンパク質が入る余地がなくなる。これだけは絶対に避けなければならない。
「食べる筋トレ」は夢の投資だ
ただし、“タンパク質中心の食事”にもデメリットはある。それは、食費がかさむことだ。
実は、タンパク質は「カロリー単価」が高い。ドンブリものや麺類などの炭水化物と比べると、肉や魚などのタンパク質で同じカロリーを摂取するには、1.5倍から2倍のお金がかかるのだ。
たとえば、ファストフードや牛丼チェーンでランチをすませるなら500円以下でOKだが、コンビニでサラダチキンを買って、牛乳を買って、茹で卵を買って……、というように単品でいろいろ買っていくと、あっという間に1000円はオーバーしてしまうだろう。
だが、この出費は「投資」と考えてほしい。
ビジネスに携わる人にはご理解いただけると思うが、何かを獲得するためには、投資が必要だ。
株で利益を出そうとするときには、最初にまとまったお金が必要だし、人材を育てる際にも教育投資が必要。それをすっ飛ばして即戦力の経験者を獲得しようとするなら、採用費や高い年俸を用意しなければならない。
商品の生産量を増やし、売上を上げたいなら、設備投資が必要だ。
これと同じように、体を変革して人生を変えるには、それなりの投資額が必要なのだ。
もちろん、「投資」というからには、それなりのリターンがある。
筋肉をつけると、理想的なカラダが手に入るのはもちろん、集中力が上がったり、思考力が上がったりするので仕事にもいい影響がある。その結果、報酬が上がる可能性もある。
また、見た目が変わることで、「この人は自分を律することができる」というまわりの人からの「信頼」を獲得できたり、異性から人気が出たりと、人間関係にも好影響が期待できる。
こう考えると、投資額に見合う十分なリターンが期待できるのではないだろうか。しかも、「食べる筋トレ」のいいところは、株式投資などと違って、しっかり取り組めば「確実に」リターンを享受できるという点だ。
世の中、「絶対に儲かる投資」は存在しない。そんなものは詐欺だ。
しかし、正しく食べるものに投資すると、100%見返りを受けることができる。こんな素晴らしい投資は、他には存在しないのではないだろうか。