あたかも自分が加害者になったかのように

ここで余談ですが、みなさんは土下座をされたことがありましょうか。

春日武彦『こころの違和感 診察室』(河出新書)
春日武彦『こころの違和感 診察室』(河出新書)

わたしは一度だけされたことがあります。別に激烈なトラブルの結果というわけではなかったのですが、相手はここで土下座をしておかないとわたしが職権を乱用して追い詰めてくると勝手に思ったようでした。

他に誰もいない場所でいきなり土下座をされたのですが、本当に後味が悪かったですね。あたかも自分が加害者になったような気分に、強制的にさせられてしまう。

床に這いつくばっているのは向こうなのに、こちらが悪人になったかのように感じさせられる暴力性がある。たまったもんじゃないです。

しかも相手の屈辱的かつ逆恨みの気持ちを想像すると、ぞっとする。そういう意味では土下座というのはある種の武器かもしれないなどと思ったりもしますが、やはりどこか一線を越えた振る舞いという気がして気味が悪い。

いちど試してみようと思って、家に一人でいるときに、香箱座りをしている猫に向かって土下座をしてみたことがありますが、もうその行為だけでもグロテスクな気分になったものです。

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