隠蔽体質の組織ではプロジェクトは成功しない
マイクロマネジメント以外にも、プロジェクトに役立つマネジメント手法があります。例えば、「悪い報告」をどう見逃さないようにするか、です。
プロジェクトにおける「新たな火種」を最初に見つけるのは、プロジェクトメンバーです。その報告が上がってくれば火種を消すことはできますが、上がってこなければいずれ大きな問題として顕在化します。
つまり、プロジェクト遂行のためには、悪い情報も報告としてきっちり上がってくるようなプロジェクト運営をしなければいけません。
普通は、誰しも悪い報告はしづらい、というのが根底の心理としてあります。怒られてしまうかも、自分の評価が下がるかも、と思うからです。そして、実際に報告をした時に、「なぜそんなことになったのだ」「なぜもっと早く手を打っておかなかったのか」などと責めるようなセリフが出てくると、さらに次回以降の報告をしたくなくなります。
さらに、それが毎度続くと、隠蔽体質のプロジェクトとなってしまいます。
しっかりしなくてはと思うばかりに、こうした状況に陥らせているリーダーはたくさんいます。
悪い報告が上がるようにする「4つのポイント」
そのようにならないためには、リーダーが悪い報告を受け入れなければいけません。そのためのポイントが4つあります。
①まずは受け止めること
悪い報告を受けた時に、「お、そうか。しょうがないね」「ま、想定の範囲内だね」などと、抵抗なく受け止めるようにしましょう。ここでネガティブな反応を示してはいけません。たとえ想定外だったとしてもぐっと堪えます。
②事実をヒアリングする
受け止めたら次は、事実を聞き出すヒアリングです。「何が原因だったのか」「問題の影響範囲はどの程度か」など、事実を聞き出すヒアリングにとどめ、個人のミスや責任を追及するようなヒアリングはしてはいけません。ここでも堪えます。
③自分が受け取るか、メンバーに戻すかを決める
原因などが見えてきたら、それを誰が対処するかを決めましょう。メンバーは自分の手に負えなくて報告にきていることもありますが、それらのすべてをリーダーが受け取ってしまうと、リーダーがボトルネックになってしまいます。
自分が対処するか、メンバーに対処させるかを決めます。焦るあまり、なんでも自分で受け取りたくなることもありますが、よく考えましょう。
④悪い報告を上げてきたことを評価する
最後に、悪い報告を上げてきてくれたことを評価しましょう。問題が起きたことがマイナス評価になるのではなく、報告を上げてきたことをプラス評価にします。
これで、報告を上げてきたメンバーはほっとして、また問題が出てきてもみんなが報告しやすくなります。
とはいっても、時には本当に驚くような報告もあります。長い間トラブルプロジェクトを見ていてもなお、「なんでそんなことになったの⁉」と耳を疑うようなこともあります。ですが、そのような感情をコントロールすべく努力するのも、リーダーの仕事です。