災害関連死の事例が、制度改善にほとんど繋げられていない

その上ですが、一番お伝えしたいことを指摘させて下さい。

山川徹『最期の声 ドキュメント災害関連死』(KADOKAWA)
山川徹『最期の声 ドキュメント災害関連死』(KADOKAWA)

現状は、災害関連死の事例が、制度改善にほとんど繋げられていないということです。災害関連死の事例という、多数の教訓を含んだ資料は、被災自治体の倉庫に眠っていて、順次廃棄処分されていっています。これらを分析し、被災者支援制度の見直しに繋げるようなことは全くといっていいほどなされていません。亡くなられた方が残した教訓を、制度の改善に繋げるという極めてシンプルなことがなされていないのです。

私はいままで様々な災害関連の立法にかかわり、政府に意見書などを提出してきました。意見がわかれる件もありました。しかし、災害関連死の事例を集め、分析し、制度改善に活かすべきだという意見については、だれからも反対されたことがありません。

しかし、日本政府はこれをしないので、貴重な資料が順次廃棄されていっています。

今後も大規模災害はかならず起きます。過去の教訓を改善に繋げる作業は、現在を生きる我々の使命です。政府は、直ちに災害関連死の事例を集め分析することの重要性を認識し、行動に移してほしいと思います。

(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山川徹)
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