楽器を演奏するのも、絵を描くのもすぐにできる
例えば、子供が楽器を習うとすると、月謝がかかり、多くは高価な楽器を買う必要があり、送り迎えの手間もかかりますが、スマホやタブレット端末などを使えば、どこにいても楽器演奏や作曲ができます。絵を描く、工作をすることなども同じです。教室に通わないまでも、色鉛筆や絵の具、紙と筆などの道具を用意して、汚れてもよい服装をさせ、さらに描いた絵や工作をいろいろな人に見せるというのはとても大変ですが、スマホやタブレット端末ならすぐにできます。
最近ではコロナ禍で思うように外出できませんが、美術館や博物館のサイトを訪れ、美しい映像で展示物を見たり館内をくまなく巡ったりすることもできます。もちろん、実際の楽器を演奏する、本物の画材で絵を描く、実物の美術品を見ることとは違います。そちらもできたほうがいいでしょう。でも、スマホやタブレットで行うことも一つの貴重な体験になると思います。
経済的格差をうめるツールになる可能性
このようにスマホなどのデジタル機器を利用することによって、私は子供間の経済的な格差を小さくできる可能性もあると考えます。
教育社会学者の舞田敏彦氏が、ニューズウィークで日本の小学生のスマホ所有率について、「日本の小学生のスマホ所持率が、貧困層と富裕層の両方で高い理由」という記事を書かれています。子供にスマホを初めて持たせる年齢は、各家庭でばらつきがあり、小学生の時に与える家庭は少ないので違いがわかりやすいのです。この記事には、「費用がかかるので家庭の年収と比例するかと思いきや、そうではない。年収200万円未満の層が19.3%と最も高く、600~700万円台の階層まで低下し、その後反転して上昇する『U字』型になっている。低学年のスマホ利用層は、貧困層と富裕層に割れているようだ」とあります。
スマホの利用率は、家庭の年収階層でU字型になっているのです。年収が低い家庭のほうが、おそらく子供にさまざまな習い事などの体験をさせてあげることが難しいでしょうが、スマホの利用率は高い。となると、今まで才能を発揮することができなかった子供も、小さいときからITリテラシーを身につけ、スマホの創造・効率・共有といった利点によって、多様な可能性をひらくことができるかもしれません。