シャープは身売り、東芝は倒産寸前…
2012年度から2018年度までの売上の伸びは、非製造業では+13.5%でしたが、製造業では+7.2%でした。どちらも売上の伸びは低いものの、利益の伸びは+72.7%と+75.2%になっており、売上の伸びに対して、従業員の給料の伸びを抑え込んだ結果です。年収の低い非正規社員ばかりを雇用した結果です。これだけ日本国民の犠牲の上に成り立った輸出産業の優遇策はどうなったのでしょうか。
シャープは台湾企業に身売りし、東芝は倒産寸前です。ガソリン車・ハイブリッド車に固執するトヨタでは、2020年に中国輸出で業績が急回復しましたが、EV車の自動運転が潜伏期を終えたあと、ガソリン車廃止によりガソリンスタンドが消滅することから、ハイブリッドカーも造れなくなります。しかも、出遅れて参入する自動運転車では、販売台数は現在の100分の1になるでしょう。
トヨタに関しては、水素エンジンという画期的なエクスポネンシャル・テクノロジーを開発したものの、トヨタ、日産、ホンダの大連合にする計画を政府主導で行ったため、全員一致の手かせ足かせに縛られてしまい、水素ステーションも全国に30箇所に満たない状態でもたもたしている隙に、テスラのEV戦略に飲み込まれてしまいました。
国内生産という十字架が事業転換の足かせに
ガソリン車・ハイブリッド車から水素エンジン車へ単独で舵を切れたでしょうし、ジョビー・アビエーションとの提携を強めて空飛ぶ自動車へ舵を切ることもできたでしょう。世界最高レベルのロボットオートメーションをシステム化して、ビジネスにすることもできたでしょう。
しかし、政府介入による国内生産という十字架により、容易に事業転換が図れません。「円安誘導をするし、困ったらエコカー補助金を出すから、ガソリン車やハイブリッド車の国内生産を続けて、就業者の雇用を守ってくれ」との政府の要請があるはずですが、それが手かせ足かせとなって“生まれ変わり”ができなくなっています。機織り機から自動車メーカーへと転換したDNAを生かしきれないでいるのです。
企業の独自判断で競争していれば、2021年からのエクスポネンシャルの6Dの「破壊」に対して、リーディング産業の転換により対応が可能であったところ、日本政府と日本銀行が抵抗勢力となってしまったということです。すべての元凶は日本政府と日本銀行による政策の失敗にあるのです。