「FIREには1億円の貯蓄が必要」とよく言われます。しかしマネーコンサルタントの頼藤太希さんは「それに達しなくても早期リタイアは十分に目指せます」と断言します。頼藤さんの言う、誰にでもできるFIREの実現策とは――。

※本稿は、頼藤太希・高山一恵『「経済的自由」を最速で手に入れる! ぴったりの投資プランが最速で見つかる! マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)の一部を再編集したものです。

椅子に座ってラップトップを使用して成功した若い女性
写真=iStock.com/SIphotography
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生活費をまかなうだけなら1億円は不要

FIREを目指すということは、資産を運用し、そこから得られる収入で生きていくということです。株式の配当収入などだけで生活していくわけですから、かなりの額の資産が必要になるイメージをもつでしょうが、億万長者=1億円に達していなくても早期リタイアは十分に目指せます。

ひとつ目安として言えば、300万円×25倍=7500万円が私の試算です。年間300万円で生活していこうとすれば、その25倍の7500万円の資産があれば何歳からでもFIREできます。「毎年もっとお金(生活費)が必要だ」ということであれば必要な資産額は増えますが、逆に「そんなになくても生活できる」のであれば、必要な額は少なくてすみます。

いずれにせよ、メディアなどで見聞きする「1億円」は不要です。そもそも、そんな額が必要なら欧米の若者に支持されることもありません。FIREは夢物語ではなく、あなたでも実現できる「生き方」のひとつなのです。

極端な我慢は本末転倒

FIREは、投資法ではなく「生き方」「ライフスタイル」です。ですから、なぜFIREを目指すのか、その点をあらためて考えてみましょう。

FIREのために必要な資産は人それぞれですが、単純な話、猛烈に働いて稼いで、極端な節約を重ねれば、比較的早い時期に達成できます。たとえば残業に休日出勤を重ね、食事はカップラーメン、お酒も飲まず、趣味にもまったくお金を使わない。新たな知識を学ぶための自己投資も一切なし……。

そうしてがんばってFIREを達成しても、以降、FIRE生活を継続する限り、使えるお金は年間に300万円前後です。経済的な自立とは、お金のことを何も考えずに好きなものをじゃんじゃん買えるという意味ではありません。

働かずに自由な時間がいくらできても、その生き方に満足できるでしょうか? お金がなければ何もできないというわけではありませんが、「働かずにすむ将来」を目的に「今の暮らし」を犠牲にするのは、とてももったいないと思います。