2010年に「龍馬1865」を発売
こうして足かけ3年、バービカン改め「龍馬1865」を2010年に発売した。
名称の由来について近藤さんは、「1996年に自社ブランドとして発売した『明治維新12人衆ビール』が元になっている」という。
「明治維新12人衆ビールは、幕末から維新にかけての有名人12人をラベルにあしらったビールです。中でも、坂本龍馬のビールが特に人気でした。近代日本の幕開けに大きな貢献を果たし、さらには全国にゆかりの地があることから、取り扱う酒販店が増えていたんです。また、当社の社長が坂本龍馬を好きだったのもあり、『龍馬ブランドとして展開していけば面白いのでは』と思ったのが商品名の由来となっています。1865という名前は、坂本龍馬が長崎の商人・グラバー氏からビールを譲り受け、初めてビールを飲んだのが1865年であると伝えられていることにちなんでいます」
龍馬1865を発売した2010年頃は、キリンビールの「キリンフリー」やアサヒビールの「アサヒ ダブルゼロ」など国産のノンアルコールビールも市場に出てきており、競争が激しさを増していた。
食品添加物をなるべく入れないことに注力
そんな状況のなか、龍馬1865の商品開発でこだわったのは「食品添加物を極力入れないように工夫したところにある」と近藤さんは語る。
「ノンアルコールビールは、本来のビールとは異なる製法で作る以上、どうしてもビールならではの味の深みや麦芽の香りが出しづらくなります。でも、ビールのような味にするために添加物をたくさん入れることだけは避けたかったんです」
背景には、販路拡大のために営業担当者がオーガニック系の宅配業者や生協へ売り込みにいく際、「添加物はどうにかならないのか」と言われていたことがあった。
「日本初のプリン体ゼロ、添加物ゼロをうたっていましたが、食品衛生法上、ph値が4を超えると清涼飲料水として販売できなくなるため、酸味料だけは外せませんでした。ただ、酸味料が添加されているままでは、販売業者によっては取り扱いしてもらえないところもあったんです。そこでもう一度、原料となるモルトエクストラクトの見直しを図りました。試行錯誤しながらも、ph値が4以下になる原料をドイツで見つけることができ、2013年に正真正銘の『添加物ゼロ』と呼べるノンアルコールビールにリニューアルすることができたんです」