なぜ営業職は引き継ぎがおろそかなのか
➀きれいな退職
②汚い退職
③普通の退職
この3パターンだ。
➀きれいな退職とは後任のために引き継ぎを完璧にやって去っていく退職。
②汚い退職とは、在職中に受けた仕打ち等と原因とする怨念によって会社にダメージを残す意図をもって、「引き継ぎをしない」、あるいは人間性を疑うような「あえてまちがった引き継ぎをする」ような退職を指す。
③普通の退職とはダメージを残さないが「引き継ぎ」もなされない退職である。
営業職だったからかもしれないが、②汚い退職や③普通の退職が実に多かった。引き継ぎがされている➀きれいな退職は数えるほどだ。
引き継ぎといっても、担当していた企業の担当者を紹介するとか、そのレベルで終わっていて、例えば業務引き継ぎ書というカタチで残した人は皆無である。
営業職の特性で、特に同業他社へ転職する場合は、それまで築き上げてきた顧客や見込み客を「お土産」として持っていくケースが多かったのだ。
退職する人の意識はすでに次の職場にある
②の汚い退職については論外だろう。僕の個人的な意見ではあるが、残していく人に爆弾を置いていく人は、そういう考え方に至る人格・性格も、職場でうまくいかなかったことの一因であると思われる。
イヤな思いをさせられたからムカつく。仕返ししたいという感情は正しい。だが、その感情にとらわれてイヤな思いをさせられた相手と同じレベルのことをしているようでは同じ穴のむじななのだ。
数年前に「やられたらやり返す」の『半沢直樹』がヒットしたのは、やられてもやり返せない現実、つまり、やられてもやりかえさない自尊心ゆえのはがゆさが背景にあったからだ。
やりかえしたくてもやりかえさない、その裏で蓄積された、働いている人間なら誰でも蓄積しているであろう鬱屈を爽快なドラマで爆発させたから、半沢直樹はヒットしたのである。
③の普通の退職。引き継ぎと呼べる行為をともなわない退職が僕の経験では圧倒的に多い。厄介なのは退職する当人は引き継ぎ済みと考えていること。
そういう人いませんか?
「A社の担当者は余裕だから」「引き継ぐまでもないよね」という軽い言葉で引き継いだつもりになって、いざ、A社とコンタクトを取ろうとしても取れなかったり、引き継ぐまでもないことがふたを開けたらとんでもない状況になったりしていたことが。
一から十まで引き継ぎをする必要はない。だが、後任が大混乱しない程度の引き継ぎはしてほしい。
このような事態が起こるのは、退職する人間の意識がすでに次のステージに移っているからである。