前職の人脈が現職で生きた

中途入社で成約ゼロは絶対に避けたい。途方に暮れた僕は、退職活動の際に掘り起こしていた運送センター、物流センターの責任者に連絡を取り、出入りするドライバーをつてに新規開発を行った。名刺とパンフを総務人事に渡すようにお願いしたのだ。物流拠点はさまざまな会社が出入りするので、移動することなく効率的に新規開発をすることができた。その結果、転職3カ月で製薬会社の子会社(物流)の契約を勝ち取ることができ、食品業界でやっていく基礎と自信を得られた。もし、退職時に掘り起こしていなかったら、運送センター、物流センターに入りこむことは許されなかっただろう。

フミコフミオ『神・文章術 圧倒的な世界観で多くの人を魅了する』(KADOKAWA)
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結局のところ、未来を切り開くヒントは、それまで歩いてきた自分の時間のなかにある。

退職というイベントでは、感情が高ぶってしまうなどして、ヒントが見えなくなっている。落ち着いて書くことによって僕らは感情をいったん落ち着かせて丁寧さを得られるようになる。

今、退職を考えている人は、引き継ぎをしっかりやる、世話になった人に挨拶をする、といった通常の引き継ぎに加えて、一見さん的な付き合いしかない人にも退職をきっかけに挨拶をしておくことや、関わったプロジェクトで没にしたアイデアなどを見つけておくことが、未来を切り開くことにつながるのだ。その際に障害になるのは、僕らが持つ感情である。

「こんな会社に!」「世話になっていない人に挨拶しても」という感情を切り離すためには、書くことで冷静さを取り戻すことが有効なのだと僕は考える。

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