愛子さまのデビューとなった歌会始の儀は、久々に皇室の明るいニュースとして人びとを笑顔にした。和歌の御用掛を務める篠弘さんが、両陛下と愛子さまの和歌に隠された意味を解説した。
英国の学び舎に立つ時迎へ開かれそむる世界への窓
今年の歌会始のお題は、「窓」。
愛子さまは、初めて「歌会始の儀」で披講した詠進歌(詩歌を作って宮中や神社などに奉ること)となった。
学習院女子高等科二年生の夏休みに、英国のイートン校の寮に滞在する「イートン・サマースクール」での体験を詠んだ和歌だ。
歴史の重みを感じる建物を前に今、ご自身の体験から世界が開かれようとしている。弾むような気持ちが詠まれている。
イートン校といえば、英国のウィリアム王子やハリー王子も学ぶなど世界の王族が学ぶ名門校だ。
「和歌は個人的な体験だけを詠むと、歌が小さくなってしまいます。愛子さまが選んだ『世界の窓』は、ご自身の垣根を越えて、同世代の若者の前に開かれる可能性や期待感を表現なさったものです」(篠さん)
篠さんが宮内庁御用掛を拝命したのは、平成から令和への代替わりが近づく2018年のことだ。
本来は、天皇陛下や皇族方に直にお会いして和歌の相談を受けること多い。
しかしコロナ禍のいまは、おもにFAXが連絡手段だ。天皇や皇族方より送られてきた和歌に丁重に目を通す。より重みを増すよう、歌の調べが滑らかになるよう、お立場に相応しいお歌に添削をすることもある。
天皇陛下と皇后雅子さまは、どのように和歌を詠むのだろうか。
「天皇陛下と雅子さまは、おふたりで同じ日に、仲睦まじく作っておられるようです」(同)
というのも、いつも同じタイミングで篠さんに和歌を出すのだという。
こんなことがあった。
令和に入って迎えた雅子さまのお誕生日。お祝いに際して行われる月次歌会のお題を、陛下は篠さんと相談していた。ところが、なかなか決まらない。篠さんも困っていると、陛下がこう口を開いた。