自身の経験を通して思うのは、「更年期は女性ホルモンの減少による一時的な体調不良」ではないということ。ましてや「放っておけば治る」ものでもない。

今までにない不調を少しでも感じたら、更年期を疑ってほしい。そして、躊躇することなく、婦人科を受診してほしい。今、私が平穏な暮らしをしていられるのは、婦人科を受診し、適切な更年期治療をしたから。そう、つらい更年期を乗り越えるには、婦人科医の力が欠かせないのだ。

治療は「更年期」が終わった後も続く

ちなみに55歳になった今も治療は継続中で、定期的に吉野医師のクリニックに通院中だ。更年期の定義とされる「閉経を挟んだ10年間」を過ぎたら治療は終わりと思いたいところだが、残念なことに閉経後は「老年期」というステージが待っている。

60歳を超えると女性ホルモンはほぼゼロとなり、骨粗しょう症、動脈硬化、尿失禁や性交痛といった泌尿生殖器症状が起こりやすくなる。それらを予防するため、50歳を過ぎてからは低用量ピルに代わり、ウェルナーラ配合錠でホルモンの補充療法(HRT治療)を行っている。現在のところ副作用は一切なく、体調も万全。中性脂肪は若干高いが、他の数値は標準値以内だ。公私ともに順調で、老年期というより、「幸年期」といったほうがしっくりくる。心に猛獣が住んでいた頃が嘘のようだ。

最新のデータによると、日本人女性の平均寿命は87.74歳(厚生労働省「令和2年簡易生命表」)。その中で更年期が占めるのは、「人生のトロ」ともいえる時期にあたる。ガマンして、やりすごすには、あまりにも長い10年間。「一生分でもティースプーン1杯程度」と言われる女性ホルモンに、人生を左右されるのはあまりにももったいない。

更年期や老年期を「幸年期」にするためにも、自分のカラダとメンタルのちょっとした変化を見逃さないでほしい。

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