伊藤忠が他商社より女性に人気のある理由

私が、新入社員に、必ず言うことがあります。

「今日ここに集まった100人のコミュニティこそが、この会社で働いていく限り、あなたのベースになります。100人がお互いに切磋琢磨するライバルであることはもちろん必要ですが、弱点はみんなで補っていく、強みはみんなで伸ばしてあげる。それから、1つのことを手がけるときに、熱く激しく執念を持ってほしい」

私は社長に就任して以来、一貫して一番好きなフレーズを「チャレンジ・イズ・パッション」にしています。安政の大獄のころ、初代伊藤忠兵衛が創業して以来、150年以上の月日が流れました。伊藤忠は、環境の変化、多くの困難を、チャレンジ精神と情熱で乗り越えてきました。新入社員の皆さんにはぜひ伊藤忠に流れるDNAを受け継いでいってほしいのです。

雑誌などの記事で、合コンしたい会社のランキングで、伊藤忠商事がトップになったと聞きました。ライバル商社を押しのけての一番はうれしい限りです。同じ商社でも、財閥系はやっぱり洗練されすぎているかもしれませんね。うちは、いい意味で荒っぽいところが残っているのでしょう。相対的な比較では、やはりエネルギーがあるのだと思います。私たち、上の立場の人間からしたら、まだまだ不満なところは多々ありますが、「1対1で負けるな」とか、「昨日と今日は違う、今日と明日は違う。毎日違った自分をつくってみようよ」と、再三言ってきたことが女性に評価されたのかもしれませんね。

宴会での一芸を持っているやつも、結構います。「君たち、こういうのは恥ずかしいからするなよォ」って注意しても、平気でやってしまう。それも大切な人間関係づくりなのかもしれませんが、今後は「さすが伊藤忠の社員は違う」と誰からも尊敬を勝ち得る人物に成長してほしい。

彼らの将来に期待しています。

※すべて雑誌掲載当時

(原 英次郎=構成 小倉和徳=撮影)