顧客に影響を及ぼさずにコスト削減に成功
ケーススタディとして一例を挙げよう。コリーン・オキーフは、上級副社長兼協働ソリューション・グローバルサービス担当ゼネラルマネジャーとしてノベルに入社したとき、きわめて難しい決定を下さねばならない状況に直面した。2009年には多くの企業が同じ状況にあったが、米国マサチューセッツ州ウォルサムに本社を置く、このグローバルなITインフラソフトウエア会社も大幅な予算削減を行おうとしていた。コリーンの使命は、顧客に影響を及ぼさずにコストを削減することだった。入社間もないときだったので、彼女は責任は自分にあるものの、一人で決定するわけにはいかないとよくわかっていた。
彼女はチームリーダーたちに頼んで、仕事のことを一番よく知っていて、自分の利益を脇に置いて建設的な提案ができる人々を推挙してもらった。「メンバーは、自身や仲間の仕事に影響を及ぼす提言をすることになるのをわかっていた」と、彼女は語る。彼女は最初にこの点を率直に伝え、未来は誰にとっても不確かなのだから、できるだけ保身に走らないようにしてほしいと、全員に指示した。
この指示を受けて、チームは3つの選択肢を作成し、それぞれについて、リスクと実現される削減額、そして優れた顧客サービスという目標をどのように達成し続けられるかを分析した。彼らはこれらの選択肢をコリーンに示し、彼女が最終決定を下しやすいよう、そのうちの一つを推奨した。その後、彼女は経営陣に、この案を3段階に分けて実行すれば、どんなリスクも軽減できると請け合った。おかげでチームは決定を途中で見直し、それぞれの段階で必要な変更を加えることができた。
メンバーは自分の利益に関係なく、最善の策を提案することに成功した。チームはコストを大幅に削減しながらも顧客サービスに対する積極的な取り組みを維持することに成功したのである。「われわれは顧客の満足度で成功を測定しているが、結果は間違いなくホームランだった」と、彼女は語っている。