日本でサステナブル商品は広がるのか?
今後、サステナブルシューズは普及していくだろうか。
ネイチャーを購入したという26歳のIT企業勤務の男性は「服やバッグと同じように、シューズも安いものをどんどん買い替えるより、少し高くても製品のコンセプトに共感できるものを長く愛用したい」と語った。
こうしたエシカル(倫理的な)消費意識の高いユーザーもいるが、大多数は地球環境よりも安く購入したいというのが本音だろう。
ネイチャーの販売価格は日本が3万8500円で、米国が300ドル(現在の為替レートで約3万3900円)。ネイチャーを「高い」と感じてしまうのは、日本人が相対的に“貧困化”したことも背景にあるかもしれない。
OECD(経済協力開発機構)が加盟諸国の年間平均賃金額を公表しているが、2020年のデータは以下の通りだ。
日本3万8515ドル(約435万円)、韓国4万1960ドル(約474万円)、フランス4万5581ドル(約515万円)、英国4万7147ドル(約532万円)、ドイツ5万3745ドル(約607万円)、米国6万9391ドル(約784万円)。
日本の賃金は韓国よりも下で、アメリカの55.5%でしかない。2000年と2020年の年間平均賃金額を比べると、米国、英国、ドイツ、フランスは1.2倍程度で、韓国は1.45倍になっている。一方、日本は1.02倍。この20年間に賃金はほとんど上昇していないのだ。
年収約435万円の日本人と同約784万円の米国人ではネイチャーの“体感価格”に大きな開きがあるのは当然だ。
とはいえ、2017年にナイキが厚底シューズを登場させてから、ランナーのマインドは変わった。高価格でも品質の良いものは売れるようになったのだ。その結果、以前は高くても1万円台後半だったランニングシューズが、今ではナイキ以外のメーカーも2万~3万円台の高価格帯モデルを続々と販売している。ランニングシューズの価格はこの5年足らずで1.5~2倍上昇した。
今後、サステナブル商品が通常モデルよりも、値段が下がるようになれば購買層も増えるだろう。もしくは経済回復して日本国民の給料が高くなり、地球環境への意識も高まれば、サステナブル商品を購入するのが当たり前というマインドになるかもしれない。