そしてSMAPは数々の象徴的なヒット曲を世に送り出してきた。ブラックミュージックやクラブミュージックに通じる洗練されたサウンドを追求しつつ、歌詞では親しみやすくフランクな日本語の言葉が歌われるのがその特徴だ。

グループ初のオリコン1位を記録した1994年の「Hey Hey おおきに毎度あり」は、全編関西弁の歌詞で「いまだバブリーなやつらはなぁー 借金してもかっこつけよる!」と当時の世相を窺わせる一曲。同じく1994年の「がんばりましょう」は、低血圧で寝癖だらけの朝の描写から始まり「かっこわるい 毎日をがんばりましょう」と歌う曲。いわゆる応援ソングなのだが、熱く燃え上がる試合や勝負のシチュエーションではなく、ゆるく他愛ない日常の情景を描いていることに大きな意味がある。

女性ファンだけでなく、同年代の男性の共感を集め支持される存在になったのもそれ以前のアイドルグループとの違いだろう。初のミリオンヒットとなった「夜空ノムコウ」はその象徴だ。「あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ……」「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ……」という歌詞の言葉は、長い不況に突入し低迷する社会の中で先行きの見えない日々を過ごしていた当時の若者たちの思いを代弁するような響きを持っていた。

マイクロフォンでコンサート
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「世界に一つだけの花」はどうやって生まれたか

「世界に一つだけの花」のヒットは、そうしたSMAPの歩みの延長線上にあった。

NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one

あまりにも有名になったこのサビのフレーズも、SMAPが歌ったからこそ強いメッセージ性を持ったと言えるだろう。ナンバーワンになれなかったことから始まり、5人がそれぞれの場所で個性を活かして活躍することで人気者になっていった足跡。オートレーサーになる夢を叶えるために脱退した森且行の存在。彼らのキャラクターが歌詞とリンクした。

槇原敬之は、曲の着想に仏教の教えがあったことを語っている。

この曲は、お釈迦様が生まれてすぐに語ったとされる「天上天下唯我独尊」という言葉から着想を得ているんですよ。

僕は最初、このお釈迦様の話を聞いたとき、「俺がこの世で唯一無二の存在であり、ナンバーワンだ!」と言っていると思ったんです。でも、それは違うんだと。

「この宇宙に私の命はたった一つだけで、それはあなたも同じ」ということをお釈迦様は言いたかった。そう考えたら、「一つしか存在しないもの同士、尊敬の気持ちで人と人がつながりあっていけるだろう」という教えなんです。

『文藝春秋』2019年2月号に掲載されたいきものがかり・水野良樹との対談で、槇原はこう語っている。